2016 Fiscal Year Research-status Report
アスリートのバネを評価する新指標の開発-コンディショニングへの活用を目指して-
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16K01609
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
尾縣 貢 筑波大学, 体育系, 教授 (90177121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木越 清信 筑波大学, 体育系, 助教 (20378235)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ばね特性 / 最適接地時間 / ジャンプ運動 / 再現性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,トレーニング現場で直感的に表現される「硬いばねタイプ」,「柔らかいばねタイプ」を客観的に評価することを試みるものである。そのため,本年度はジャンプ運動におけるばね特性を評価する新たな指標作りをテーマとし,個人の特性を反映している可能性および再現性の検討を行った。 被験者は陸上競技の短距離・混成競技を専門とする男性競技者52名とした。実験試技は30cmの台高から跳び降りた後,再び跳び上がるジャンプ運動を20回程度行わせた。このとき,極めて短い時間で跳ね返すものから,十分に沈み込んだ後に跳ね返すものまで,接地時間を意識的に大きな範囲で変化させる試技を行わせた。そして,最も高く跳ぶために用いた接地時間を最適接地時間とした。 その結果,最適接地時間は0.1秒から0.9秒程度まで個人間で大きく異なることが示唆された。最適接地時間の短い者は,ジャンプ時の沈み込みが浅いことが考えられ,相対的に足関節の貢献が大きいことが推察される。一方,これの長い者は深く沈み込むことで,相対的に股関節の貢献が大きいことが推察される。したがって,本研究で試みたジャンプテストは個人の最も高く跳ぶための下肢関節の貢献のバランスを反映している可能性が考えられる。この点については平成29年度に,詳細に検討することとする。また,新たな指標作りのため,本研究で開発したジャンプテストの3ヶ月後にre-testを行い,最適接地時間には再現性が認められた。このことは,テストの信頼性を高めるとともに,高い妥当性が保証されたことを示唆している。 競技者のばね特性を客観的に評価することができれば,トレーニング指導やコンディショニングへの活用,あるいはタレント発掘の際の指標となることが考えられ,コーチング現場への活きた知見を提供することができる。今後は競技者のパフォーマンスやコンディションとの関連を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度において,ヒトのジャンプ運動におけるばね特性を評価する新たな指標作りのために,実験およびデータ算出から考察までを終えている。また,本年度の得られた結果は,学会発表済みおよび論文投稿中である。また,平成29年度に実施予定の動きの弾性特性を評価する新たな指標の力学的特性の検討について,すでに実験を終えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に実施予定の動きの弾性特性を評価する新たな指標の力学的特性の検討について,実験データを分析する。得られた実験データを平成28年度に明らかにした個人のばね特性と照らし合わせながら,考察を深め,平成29年度中に学会発表を行う。 平成30年度の研究課題のばね特性のコンディショニング・マネージメントへの活用の測定および実験を行う。具体的には,ばね特性を縦断的に測定し,ばね特性の変動とトレーニング内容および試合結果との関係を検討する。
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Research Products
(1 results)