2016 Fiscal Year Research-status Report
受の状態(進退動作)による取の技(背負投)の影響に関する研究
Project/Area Number |
16K01621
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
出口 達也 広島大学, 教育学研究科, 教授 (60227543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩川 満久 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 准教授 (60263654)
大塚 道太 広島大学, 教育学研究科, 助教 (10442386)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 柔道 / 背負投 / 動作分析 / 受の姿勢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,受に自然体,自護体,前傾姿勢の異なる姿勢を取らせ,取の背負投の動作に及ぼす影響を,釣手の肘・肩関節角度,膝関節角度,上半身前傾角度において検討した.6台の高速度赤外線カメラを用いた三次元動作解析システムにより取の動作を分析し,技の開始から終了までの間の過程を,point A( 取の軸足の一歩目の接地時),point B( 取の回し込み足の接地時),point C( 受の足部の離地時) に区分した.その結果,受の姿勢に関わらない点として, 1)釣手の肘関節角度は動作開始からpointAまでの過程において一旦増大( 伸展) し,その後に減少( 屈曲) して,point Bの前後に最小値を示した後,動作終了まで大きく増大した.また、釣手の肩関節角度は動作開始からpoint Aまでの過程において一旦増大( 開き),その後に減少( 絞まり),point Aとpoint Bの間の過程の70%前後の時点で最小値を示した.その後,肩関節角度は増加に転じ,point Cから動作終了まで減少した. 2)膝関節角度は動作開始から減少( 屈曲) し始め,point Bとpoint Cのほぼ中間時点で最小値を示した後,動作終了まで大きく増大( 伸展) した. 3)上半身前傾角度は動作開始からpoint Aまでの過程において一旦小さく増大( 前傾) するが,poin Aとpoint Bの中間時点まで減少し,その後point Cと動作終了の中間時点まで大きく増大した後,最後に減少した.また、受けの姿勢の影響として,自然体に比べて,自護体や前傾姿勢に対しては,取は釣手を構成する肘関節をより大きく屈曲させ,肩関節をさらに絞めた状態にし,膝関節をより深く屈曲し,上半身をさらに前傾させていることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
柔道の「 背負投」 における受の異なる姿勢が取の投げ動作に及ぼす影響を明らかにすることができたため。 背負投において受の姿勢が異なる場合,取は受の姿勢に対応して各関節角度を総合的に 調整しながら背負投を実現している.そして,自然体に比べて,自護体や前傾姿勢に対しては,取は釣手を構成する肘関節をより大きく屈曲させ,肩関節をさらに絞めた状態にし,膝関節をより深く屈曲し,上半身をさらに前傾させていることが明らかである.本研究の被験者は,背負投の技術をすでに身につけており,おそらく被験者は自然体の相手を受として投技動作を身につけたと考えられる.そのため,本研究の実験結果は,取は投技の基本動作を身につけることで,受の姿勢が変わってもそれに対応するような動きが可能になるということが示唆される.これらのことから,背負投の指導においては,基本動作が身につけば応用動作も可能になり,効率の良い動作という意味では自然体の相手を受として動き作りをするのが良いと考えられる.そして,柔道の実戦的な応用技術をより修得させるためには,様々な条件設定に対応した背負投技術の指導が必要であることも示唆される.
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Strategy for Future Research Activity |
取が柔道未熟練者の場合に、進退動作が取の技に与える影響を明らかにし、柔道初心者や熟練殿低いものが陥りやすい投動作の傾向を検討する。
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Causes of Carryover |
動作解析ソフトウェアの購入を今年度(2017年度)行うことにしたため。また、予定していた海外発表が業務と重なり、発表ができず旅費を使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
動作解析ソフトウェアの購入を行う。また、海外発表を行う。
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Research Products
(1 results)