2018 Fiscal Year Research-status Report
附属学校との連携によるフェアプレイに注目した鬼ごっこの体育における実践と普及
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16K01622
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
上野 耕平 香川大学, 教育学部, 准教授 (20311087)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フェアプレイ / 体ほぐし / 鬼遊び / スポーツマンシップ / なかま鬼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではフェアプレイに注目した鬼ごっことして「なかま鬼」を開発し,昨年度までに体育授業における実践を通じて,その効果について確認を進めていた。そして本年に残された課題として,1)なかま鬼における経験内容の確認,2)経験内容に関する客観的評価の2点が挙げられていた。なかま鬼が援助自己効力感の向上に及ぼす影響を明らかにするためには,鬼遊び中に児童が経験している内容について,彼らの主観に加え客観的な評価によって明らかにする必要があった。 本年度は公立小学校に鬼遊びの実践及び調査への協力を依頼し,上記について明らかにすることを目的として研究を行った。実践方法及び調査の手続きについてはこれまでと同様とした。一方,鬼遊び中に児童が経験する内容について児童による主観的評価に加え,ビデオカメラによる記録を用いた。その上で,援助行動については3側面(積極的援助,消極的援助,間接的援助)から,被援助行動については4側面(直接的被援助,互恵的被援助,強制的被援助,間接的被援助)から各児童の行動の実数を評価すると共に,援助・被援助行動の総数についても測定した。分析の結果,なかま鬼では間接的援助を除く全ての項目において,一般的な鬼遊び(しっぽ取り)よりも多くの援助・被援助行動が行われていることが明らかになった。他方,児童のなかま鬼実施後の援助自己効力感に及ぼす影響を確認したところ,援助・被援助行動に対する客観的評価(実数)よりも児童による主観的評価の方が影響が大きいことを示す結果が得られた。本結果から,援助自己効力感の変容には援助行動の実数よりも,援助行動の頻度に対する児童自身の認識の方が影響を及ぼす可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は公立小学校において鬼あそびを中心とした授業を予定通り実施し,昨年度から引き継いだ2つの課題について検討することができた。当初の計画内容を十分にクリアできており,研究は順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降については,現時点では基本的に当初の研究計画に則って実施する予定であり,なかま鬼の普及に向けた活動を実施していくことになる。そこでは,なかま鬼の実施方法による参加者の心理・生理的側面に及ぼす影響の差異等について,実践を通じて確認していくことになる。他方,可能であれば,なかま鬼への参加を通じて高められた援助自己効力感によって,体育以外の時間や場所における援助行動が促進される可能性について確認をしたいとも考えている。
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Causes of Carryover |
当初予定した研究計画通りに進めており,残額は数万円程度に止まっている。来年度は7月に開催されるヨーロッパスポーツ心理学会において発表予定であり,その際の参加費・旅費として未使用額を支出する予定である。
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Research Products
(3 results)