2016 Fiscal Year Research-status Report
主観評価と客観指標に基づく剣道に適した専用サーフェイスの検討と開発
Project/Area Number |
16K01627
|
Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
池田 孝博 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (90342401)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 領 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (20184054)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 剣道 / サーフェイス / すべり / 客観指標 / 主観評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年に当たる平成28年度は,研究計画に基づいて以下のような活動を行った. ①測定器具の開発:従来のスポーツサーフェイスや各種床面などの「すべり」に関する客観指標の測定には,すべり試験機や摩擦計が用いられているが,これらで得られる指標と剣道用のサーフェイスとしての適切性については評価が異なると思われるため,あらたに吸着力の強さを測るための機械を開発した. ②剣道用サーフェイスに関わる客観指標データの収集:剣道場の床面の施工を専門とする業者の協力のもと,剣道場で使用されているさまざまな床材とその条件を設定(松や杉,無垢材と集成材,ウレタン塗装の有無,オイル仕上げの有無)し,摩擦係数,すべり抵抗係数,吸着力に関する測定実験を実施した.さらに,剣道専用の床面が設置できない施設などで剣道を行う際に有効と思われるマットを開発し,それについても同様に,客観指標の測定実験を行った. ③剣道用サーフェイスに関わる主観評価データの収集:剣道場の床面に対する主観評価と客観指標の関連を検討する目的で,②で客観指標測定を行った床材のうち,ウレタン塗装(通常の体育館),無垢無塗装の杉材(剣道用仕様),剣道用マットの3種類について,K大学剣道部員の大学生の協力を得て,いくつかのパターンの試技をおこなった後,その使いやすさについて,3つの観点(踏み込み足,踏み切り動作,すり足)について評価を実施した. ④データ分析:上記で得られたデータをもとに,客観指標の信頼性や指標間の関連性,客観指標と主観評価の関連,主観評価と回答者属性の関連について分析を行っている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究活動においては,剣道用のサーフェイスに関して,予定していた新たな客観指標の開発やそれを含めた3つの客観指標データおよびプレーヤーによる主観評価データの収集作業を順調に終えることができた.特に新たに開発した吸着力の測定器は,剣道用のサーフェイスの客観指標として有効な手法となることが確認された.また,それと摩擦係数やすべり抵抗係数との関連についても確認できている.さらに,客観指標と主観評価の関連についても,一部において認められ,本研究課題の主要な目的の一つである,剣道用のマットの開発のために有効となる研究成果を導き出すことができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目以降である,今後の推進方策としては,平成28年度に得られた剣道用のサーフェイスに関する客観指標や主観評価のデータ分析によって得られた成果を,日本体育学会および日本武道学会等の場において公表していく予定である.また,これらの研究成果によって得られた知見に基づいて,剣道専用マットを,その実用化に向けて改良していく予定である.さらに,試作されたマットをモニターに提供し,継続的な使用に伴う,使用感や耐久性の変化について検証していきたいと考えている.
|
Causes of Carryover |
今年度は計画していた作業のうち,人件費・謝金の発生する作業を実施しなかったため.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究に必要となる消耗品など物品費の購入に充てる予定である.
|