2017 Fiscal Year Research-status Report
主観評価と客観指標に基づく剣道に適した専用サーフェイスの検討と開発
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16K01627
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
池田 孝博 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (90342401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 領 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (20184054)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 剣道 / 床サーフェイス / コルクマット / 客観指標 / 主観評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度収集したデータを分析し、その成果を公表した。 第1の成果は、様々な床面サーフェイスを客観的指標で測定し、その信頼性、妥当性を確認した。適用した指標は、摩擦係数、滑り抵抗係数と本研究で独自に開発した吸着力であり、ウレタン塗装床、鉋削り無垢材、鑢削りの無垢材、オイル仕上げの無垢材、集成材、オイル仕上げ集成材およびコルクマットの試料について測定を行った。信頼性(ICC)は、摩擦係数0.961、滑り抵抗係数0.954、吸着力0.988であった。指標間の関連では、摩擦係数と滑り抵抗係数が有意な線形関係、滑り抵抗係数と吸着力は有意な2次式の関係であることが示された。つまり、摩擦係数が高ければ、滑り抵抗係数が低い。また、吸着力が高い時と低い時に滑り抵抗係数が高くなることが示された。 第2の成果は、床面の主観評価と評価者の特性の関連について明らかにした。大学生剣道部員53名の性別、競技ランク、段位、体力、怪我の有無、保護用具使用、技の特徴を調査し、ウレタン塗装、無垢材(鉋仕上)およびコルクマットについて、ふみきり、ふみこみ、すり足の3つの視点で評価を求めた。主観評価を従属変数、評価者特性を独立変数とする数量化Ⅰ類を用いて検討した結果、無垢材、競技ランクと段位の低群、男性、反復横跳と立幅跳の高群、遠間からの技や手数は多く発現しないが、それらを重視する競技スタイルの学生ほど、床質を高く評価する傾向が示され、評価への影響が大きいアイテムは床質(偏相関係数0.414)であった。これらの結果から、低体力の学生は床質に依存して評価が低くなるが、競技ランクや段位など、技量の高い学生も床質に求めるものが厳しくなる傾向が示された。 年度末にはコルクマットを用いて英国での調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象となる剣道用の床面サーフェイスの試料を選定するとともに、客観指標の信頼性や妥当性が確認された。また、主観評価の特徴についても確認できた。 平成29年度末から30年度初めにかけて、英国において調査を実施し、海外の剣道実践者を対象として、剣道用に開発したコルクマットの評価データを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度末から30年度初めにかけて、英国で得られたデータをもとに、海外の剣道実践者の剣道用コルクマットに対する評価について分析を行う予定である。また、日本国内の実践者についても改めて調査を実施し、日英間の評価についての比較検討を行う。さらに、これまでの調査で得られたデータに基づいて、剣道用の床面サーフェイスに対する主観評価と客観指標の関連についても分析を進め、これらの成果を公表していく予定である。
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Causes of Carryover |
英国での調査を、先方の都合により、平成30年3月31日から4月1日の間(渡航期間は事前準備を含め3月29日から4月3日)に実施したため、本年度使用予定であった経費の一部を次年度使用することとした。
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Research Products
(3 results)