2016 Fiscal Year Research-status Report
大学体育教員の授業力量を高める授業改善動画システムの開発
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16K01633
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
西原 康行 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (50339959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米村 耕平 香川大学, 教育学部, 准教授 (20403769)
木内 敦詞 筑波大学, 体育系, 教授 (40241161)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大学体育 / 教師教育 / 再現認知 / 授業改善 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究代表者が行なってきた暗黙知研究を拠所として、【課題1】大学体育教員が自らの授業を他の教員と協調しながら自覚化して課題確定できる授業改善動画システムを開発するとともに,【課題2】汎用性を高める改良を行なってアクションリサーチを機能させることで、日常的に授業改善に取り組む環境の整備と、大学体育教員の授業改善に向けた組織風土を醸成することを目的としている.体育授業は、教員の暗黙知が内包されているため、言語データ(教員が発した言葉や指導案)あるいは授業者と授業観察者の記憶だけを拠所にして振り返る(検討する)ことに限界がある。そのため、授業時の動画を用いて「この場面」を振り返り、「あの場面」にジャンプして振り返ることで暗黙知が浮き彫りになるとともに、教員同士がその知を共有できると考えた.また,「曖昧模糊とした授業改善の課題」あるいは「やりっぱなしの授業」ではなく、動画に映る授業時の学生の具体的な姿を通して、授業の何が課題なのかを明確にして、着実に実践の成果を蓄積できる(暗黙知を教員の力にしていく)ことができると考えた。さらに,従来のアクションリサーチと違い、協調的授業改善に参加する教員がパソコンでいつでも検討ができるシステムの構築を企てた.このことにより,1大学の体育教員だけでなく他大学の教員と組織的に授業改善ができると仮定している.1年目の本年は,大学体育教員向けの授業改善動画システムのソフトを開発した【課題1】.システムの開発は、1)動画を投稿する授業者が簡易に投稿できるようにする、2)どのVTR画像(教師の視点、授業空間全体、あるいは両方の組み合わせ)が授業の課題箇所・改善案を明確化できるのか、3)どのような発言フレームやボタンの設計が授業の課題箇所・改善案を明確化できるか、という3点に着目して開発を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は、課題1をクリアするため,大学体育教員向けの授業改善動画システムのソフトを開発した。システムの開発は、1)動画を投稿する授業者が簡易に投稿できるようにする、2)どのVTR画像(教師の視点、授業空間全体、あるいは両方の組み合わせ)が授業の課題箇所・改善案を明確化できるのか、3)どのような発言フレームやボタンの設計が授業の課題箇所・改善案を明確化できるか、という3点に着目して行なった。 体育授業は、教員の暗黙知が内包されているため、言語データ(教員が発した言葉や指導案)あるいは授業者と授業観察者の記憶だけを拠所にして振り返る(検討する)ことに限界がある。そのため、授業時の動画を用いて「この場面」を振り返り、「あの場面」にジャンプして振り返ることで暗黙知が浮き彫りになるとともに、教員同士がその知を共有できるような設計が必要である.また,「曖昧模糊とした授業改善の課題」あるいは「やりっぱなしの授業」ではなく、動画に映る授業時の学生の具体的な姿を通して、授業の何が課題なのかを明確にして、着実に実践の成果を蓄積できる(暗黙知を教員の力にしていく)ことが必要となる. 以上の課題が1年目の研究検討によって抽出されたことから,課題をクリアできる授業改善システムの構築を行なった.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目(2018年度)は、授業改善動画システムを使った協調的授業改善に参加する教員の属性を拡げることで、システムの汎用可能性と限界を明らかにする【課題1から2へ】。授業を観る眼を持った体育教員・若手の体育教員・物理的に会うことが不可能な遠方の大学間での教員など、様々な教員の属性で授業改善動画システムによる授業改善がどのように機能するかを明らかにする。研究体制としては,研究代表者、研究分担者に加え,研究協力者として,大学体育授業研究会教員4名(授業者、発言参加者、実践者としてのシステム開発)に加わってもらい,研究協力者である大学E-learning室技官とともにシステムの改良を行なう. 3年目(2019年度)は、複数の大学で授業改善動画システムを導入して、対象となる大学の体育教員の組織文化の変容を明らかにする【課題2】。アクションリサーチとしての効果測定は、学生の変容(形成的授業評価)、教員の意識の変容、協調的授業改善が日常化したか否か、部分適合から全体適合(一部の教員の取り組みから複数の大学の取り組みになったか否か)で明らかにする。
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Causes of Carryover |
2016年度は,授業改善システムの構築に向けて,多くの事例を取り上げて検証を行う予定にしていたが,在外研究期間中に当初計画していたエフォートを下回ったことに拠り,充分な事例検証が行われていない.そのため,旅費,人件費・謝金が当初支出予定金額を下回っている.また,事例検証数が少なかったことに拠り,物品として記憶媒体を多く必要としなかったことや,記憶媒体処理のためのメモリやCPUを高める機器の購入を見送っている.以上のことから,次年度使用額が生じている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は,授業改善システムの事例検証数を増やすことで,システムの汎用性を高める.そのため,2016年度に未達となっている大学の授業事例のデータ収集数を4事例増やして,総事例数8事例とする.また,熟達教師,初心者教師の授業認知機会を増やすことで,授業改善システムの精度を高める.そのため,2016年度に支出しなかった金額を旅費・人件費・謝金に充当するとともに,授業事例のデータ分析を円滑に行うためのメモリ増設,CPU精度を高めることに充当する.
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Research Products
(3 results)