2016 Fiscal Year Research-status Report
体力向上と体力に関する知識を理解させることを意図した球技の指導計画の有効性
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16K01634
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
津田 龍佑 金沢医科大学, 一般教育機構, 准教授 (80466648)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教科体育 / 体力づくり / 球技 / サッカー |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は,体力向上と体力に関する知識を理解させることを意図したゴール型・サッカー授業を考案するとともに,その効果を検討した.そのために,石川県のU中学校に在籍する1年5組21名および1年6組20名の合計41名の生徒を対象として,体力向上と体力に関する知識を理解させることを意図した授業を実施した.単元前後に,スキルテスト(リフティング),体力テスト(150m方向変換走),および試しのゲームを実施した.また,毎回の授業後に技術面,体力面,心理面に関する生徒の自己評価による質問紙調査を,単元終了後に「技能」,「態度」,「知識,思考・判断」に関する生徒の自己評価による質問紙調査を行った. 主な結果は,次のとおりである. ① リフティングの成績は単元後に有意に高値を示した.② 150m方向変換走の成績は,単元後に有意に向上した.③ ゲーム中の移動距離は,単元前後で有意な変化は認められなかった.④ 毎回の授業後の生徒の自己評価による質問紙調査における技術面の質問項目「成果」(設問2),「ボールをける」(設問4),「ドリブルをする」(設問6),「ボールをうばう」(設問7),「位置どり」(設問8),および体力面の質問項目「無酸素性パワー」(設問9),「無酸素性持久力」(設問10)は単元後に有意に高値を示した.⑤ 単元終了後の「技能」,「態度」,「知識,思考・判断」に関する生徒の自己評価による質問紙調査では,「サッカーに必要な体力」(説問10)について理解できたと回答した生徒の割合は94.1%であった. 以上のことから,本研究において考案した指導計画により,体力づくりはもとより技術と関連して高まる体力についても多くの生徒が理解できる可能性が明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,指導プログラムを考案するとともに,その有効性を授業研究をとおして検証することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
学習指導要領には,球技領域における知識の内容の1つとして,関連して高まる体力(中学1・2年),体力の高め方(3年)をそれぞれ理解することが取り上げられている(文部科学省,2008).初年度は体力向上に加えて,体力に関する知識(関連して高まる体力)を理解させることを意図したサッカーの授業成果を中学校1年生を対象にして検討した.その結果,考案した指導計画により,体力づくりはもとより技術と関連して高まる体力についても多くの生徒が理解できることを報告した.しかしながら,この研究では中学3年を対象にして,主として体力の高め方に着目した授業効果を検証していない.小澤(2008)は,わずか週2~3時間の体育授業では,体力要素を全般的に高めることの限界を指摘した上で,運動・スポーツの意義とその学び方を確実に学習し,身につけ,生涯にわたって活かすことができる能力を育てることの重要性を強調している.このことを考慮すると,学校の体育授業を通して,自分の体をつくる方法を身につけさせる授業展開が求められているといえるが,その成果を証明するような実践的研究はほとんどみられない. そこで2年目は,体力の高め方を理解させることを意図したサッカーの授業の効果を中学校3年生を対象にして検証する予定である.
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Research Products
(1 results)