2018 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the structure and significance of "Nazori" in the instruction and learning process of traditional arts
Project/Area Number |
16K01639
|
Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
迫 俊道 大阪商業大学, 公共学部, 教授 (40423967)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | なぞり / さぐり |
Outline of Annual Research Achievements |
2016~2017年度に実施した参与観察から得られた映像データと照らし合わせながら、インタビューの逐語録の分析を行った。『<わざ>を生きる身体-人形遣いと稽古の臨床教育学-』には、人形浄瑠璃の稽古に関する緻密な記録が残されている。この文献は本研究において非常に重要な示唆をもたらすものであり、著者と著書の内容、身体論について意見交換を行った。また、スポーツ社会学領域の研究者と「なぞり」に関する意見交換を実施し、国立国会図書館において研究資料の収集を行った。コーチングの研究会へも参加した。 2018年7月8日に開催された日本地域資源開発経営学会第7回全国大会において、「伝統芸能の指導・学習過程における「なぞり」の教育的意義に関する研究」という演題で研究報告を行った。「なぞり」に関連すると思われる(身体論、間合い)論説、身体教育学、芸道の修行過程の著書の記述から、「待つ」という行為に着眼し、指導者と学習者の「なぞり」の教育的意義を報告した。 これらの研究活動を通じて、下記のことが明らかになった。「なぞり」という言葉は手本や見本とすべき演技等を模倣する際に用いられるが、「なぞり」には相互性があり学習者だけではなく指導者が「なぞる」行為も見られる。指導者が学習者の動きをなぞることが出来ない場合、指導者は学習者の躓きの要因を「さぐり」、学習者の身体への接近を目指していた。実際の伝承活動では指導者が学習者に身体所作を教える際、学習者が直面している課題は何か、指導者はその要因を「さぐる」ために様々な試みを行っている。この「さぐり」という視点を踏まえて、「なぞり」と「さぐり」の構造とその意義を論じることが今後の課題である。
|
Research Products
(1 results)