2016 Fiscal Year Research-status Report
Quiet Eyeはプレッシャー下における知覚-運動系の崩壊をいかに抑制するか?
Project/Area Number |
16K01657
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
村山 孝之 金沢大学, 国際基幹教育院, 准教授 (20531180)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 知覚運動制御 / 視線行動 / 空間知覚 / プレッシャー / ゴルフパッティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,プレッシャー下におけるパフォーマンス崩壊に対する予防策の確立を目指し,「Quiet Eye(QE):運動開始直前に見られる目標物に対する100ms以上の視線停留」に着目している.これまでの研究から,プレッシャー下でもQE時間を確保することができれば,運動遂行上適切な対象に注意を向けられるために,正確な知覚情報に基づいた運動プランニングが可能になることが分かってきた.しかし,QE時間が目標物の大きさや自己と目標物との距離などの空間知覚といかに関係するのか,その関係性については未だ未解明な点が多い.本年度は,QE時間と空間知覚の正確性およびパフォーマンスの関係性について検討した. 健常な大学生12名を対象として,ゴルフパッティング課題を用いた実験を行った.実験条件はプレッシャー条件と非プレッシャー条件とした.その結果,非プレッシャー条件からプレッシャー条件にかけてQE時間が有意に低下した.ホール(ターゲット)の知覚サイズについては両条件間で顕著な差は示されなかったが,プレッシャー条件においてボールの停止位置(RE:Radial Error)が増加した参加者とREが減少した参加者を比較した際,REが増加した参加者ほどその知覚サイズが実際のホールサイズに比べて有意に大きく,さらに知覚サイズのアスペクト比(ホールの縦横比)が小さくなる傾向が示された.これらの結果は,プレッシャーによってQE時間が低下する際,ボールの停止位置のばらつきが大きくなった参加者ほど,ホールを実際のサイズ以上に過大知覚したり,横長の形状として知覚するなど,空間知覚の正確性が低下した可能性を示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
QE時間と空間知覚の関係性をより詳細に検討するため,実験参加者を追加する予定である.コンタクトレンズ装着者については視線行動の計測が容易でない場合があるため,裸眼の健常者を増員する必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
プレッシャー実験ではないが,錯視図形に対する運動課題を用いた著者らの別の知覚実験では,空間知覚の正確性が低下した場合にQE時間も減少する結果が示されている.実験参加者数を増やすことでQE時間と知覚サイズの関係性を検討しやすくなるため,正確な視線計測が可能な裸眼の参加者を増員して実験を継続し,平成29年度の研究課題に円滑につなげる.
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Causes of Carryover |
旅費について,当初予定した予算額より支出額が少なく済んだため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の研究課題を遂行するうえで参考となる関連図書(視覚情報処理および知覚運動制御を扱ったもの)の購入に充てる.
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