2017 Fiscal Year Research-status Report
Quiet Eyeはプレッシャー下における知覚-運動系の崩壊をいかに抑制するか?
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16K01657
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
村山 孝之 金沢大学, 国際基幹教育院, 准教授 (20531180)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 知覚運動制御 / 視線行動 / 空間知覚 / プレッシャー / ゴルフパッティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「Quiet Eye(QE):運動開始直前に見られる目標物に対する100ms以上の視線停留(視野角3度以内)」に着目し、QE時間の確保がプレッシャー下における空間知覚や運動パフォーマンスに及ぼす影響について検討した。実験ではゴルフパッティング課題を用いた。21名の大学生を対象とし、ボールに対するQE時間を確保して練習するQET(QE Training)群、動作の遂行方法を意識して練習するTT(Technical Training)群、一切の教示を受けないControl群に分け、課題を非プレッシャー条件とプレッシャー条件で行った。そして、各群におけるホールの大きさの知覚サイズ(縦・横方向、アスペクト比)、ボール停止位置とホール中心とのエラー(RE:Radial Error)、ボールに対するQE時間、主観的緊張度、自信度を比較・検討した。実験の結果、全群において、非プレッシャー条件からプレッシャー条件にかけて知覚サイズとREが減少する傾向が見られた。ただし、QET群においては、両条件におけるQE時間が有意に長く、緊張度とRE ならびに知覚サイズ(縦方向)との間に有意な負の相関がみられた。したがって、緊張度が増加してもREが減少し、縦方向の知覚精度が低下しにくいことが分かった。この傾向はTT群、Control群においては認められたかったことから、QEは空間知覚とパフォーマンスの正確性の維持・向上に貢献する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では「プレッシャー条件でもQET群のQE時間の減少率は低く、空間知覚の精度とパフォーマンスの正確性の減少率も低い」という仮説を検証した。今後さらに参加者を増やす予定であるが、実験は円滑に進んでおり、概ね期待した結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに参加者数を増やし、QE、空間知覚、パフォーマンスの関係性をより詳細に検討する予定である。正確な視線計測が可能な裸眼の参加者を増員して実験を継続し、平成30年度の研究課題に円滑につなげる。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも物品費、旅費等の支出額が少額で済んだため。次年度の研究課題では脳機能を測定するため、当該額は測定に必要な消耗品の購入に充てる。
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