2018 Fiscal Year Research-status Report
Quiet Eyeはプレッシャー下における知覚-運動系の崩壊をいかに抑制するか?
Project/Area Number |
16K01657
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
村山 孝之 金沢大学, GS教育系, 准教授 (20531180)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Quiet Eye / 視線行動 / 注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,熟練者にみられるQuiet Eye(QE:例えば動作開始直前の的などの標的への100ms以上の固視)が,プレッシャー下での不必要な情報への注意を防ぎ,パフォーマンス崩壊を抑制する可能性が指摘されている.しかし,QEがパフォーマンス崩壊を抑制する際の詳細なメカニズムは未だ明らかではない.そこで本研究では,QEという視線行動とパフォーマンスの間に介在する「知覚-運動系」の働きに着目し,プレッシャーによる知覚-運動系の崩壊に対する,QEの抑制効果と抑制メカニズムの解明を目的とした.3年間の研究計画を設定し,各年ごとに次の3点について明らかにすることを計画した. (1)QE時間と空間知覚の関係性 (2)知覚-運動系の崩壊に対するQEトレーニングの抑制効果 (3)空間知覚と運動制御に関与するQE中の視覚情報の処理経路 2018年度の目的は,(3)空間知覚と運動制御に関与するQE中の視覚情報の処理経路を検討することであった.前年度まではゴルフパッティング課題を用いたが,身体を静止させた状態での脳機能計測を想定し,今年度は射撃課題を使用することとした.課題によってQE時間が異なる可能性があること,ならびにQE中の脳機能を計測するには時間分解能の高いシステムを使用する必要があることから,射撃課題遂行中のQE時間を実際に計測した.その結果,平均QE時間は3.7sであり(射撃未熟練者7名),射撃パフォーマンスが高い被験者ほど長い傾向がみられた.この結果から,当初はNIRS による脳機能計測を検討していたが,より時間分解能が高い脳波計測が適している可能性が高いため,現在検討を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度の目的は,空間知覚と運動制御に関与するQE中の視覚情報の処理経路を検討することであった.脳機能計測の方法として,計画段階ではNIRSの使用を想定したが,QE時間を踏まえると,より時間分解能が高い脳波計による計測が適している可能性が考えられる.そこでまずは,実際の計測で用いる射撃課題を実施し,QE時間について検討することとした.前年度までは,ゴルフパッティング課題を使用しており,射撃課題は用いていないためである.その結果を踏まえてNIRSあるいは脳波計のどちらを使用するか検討するため,研究期間を一年延長し,実験計画を再検討している.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,射撃課題における射撃直前の平均QE時間について,サンプル数を増やして検討する.QE時間が6秒以上であれば,当初予定していた通りNIRSでも可能かもしれないが,今年度の実験結果からは6秒未満である可能性が高いため,より時間分解能が高い脳波計測が適している可能性がある.そのため,射撃中のQE時間と脳波計測を同時に実施し,計測方法の妥当性や信頼性,ならびに実験参加者の負担等を確認する.NIRSを使用した脳血流量計測から脳波計測への変更が適切であると確認できれば,直ちに計測を進める.
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Causes of Carryover |
2018年度が最終年度であったが,研究計画を2019年度まで延長したため,次年度使用額が生じた.当該額の使徒については,2018年度の研究計画を引き続き遂行するために使用する.具体的には脳機能計測に要する消耗品や,学会発表・論文投稿に関する諸費用,ならびにデータ解析のための人件費・謝金に使用する予定である.
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Research Products
(1 results)