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2018 Fiscal Year Research-status Report

学校のスポーツ活動における負傷事故の分析:根拠に基づく実態の解明と安全対策の推進

Research Project

Project/Area Number 16K01659
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

内田 良  名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (50432282)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2021-03-31
Keywords学校安全 / スポーツ傷害 / スポーツ医学 / 突然死 / 部活動 / 学校事故 / 持久走 / 長距離走
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は,次の2点である。(1)学校管理下のスポーツ活動における負傷事故について,その実態を解明して,安全対策の要点を導出する。(2)得られた知見を迅速にウェブサイト上に公開し,一刻も早い安全対策の検討を国内外に向けて呼びかける。
(1)の学校管理下のスポーツ活動における負傷事故に関する研究では,2018年度は特定競技に踏み込んだ分析に,重点的に取り組んだ。具体的には,持久走における死亡と負傷・疾病の件数ならびにその推移を約10年分にわたって調べた。また,事例研究として,今日高い関心を集めている部活動について,とくに部活動中の事故の特徴を検討した。
前者の持久走の分析においては,2008~2017年度に期間を限定した。保健体育科の授業では,持久走を含む競技種目全体のなかで,死亡事故が小中高で55件起きている。うち16件が持久走によるもので,全体に占める割合は,約29%である。負傷・疾病において同様の分析をおこなうと,持久走による負傷・疾病が全体に占める割合は約2%である。このことから,持久走では,死亡事故が発生しやすいことが明らかとなった。また後者の事例研究については,いくつかの重大事故(水泳の飛び込みスタート事故を含む)において,とくに施設整備の面において安全性が確保されていないなかで活動がおこなわれていることがわかった。
(2)のウェブサイトにおける知見の公開については,筆者が主宰する「学校リスク研究所」ならびに「リスク・リポート」(ヤフーニュース個人)などにおいて,分析の結果を公開するとともに,事故防止の啓発活動に努めた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

上記「研究実績の概要」に示した(1)の学校管理下のスポーツ活動における負傷事故に関する研究では,持久走に的を絞り,順調に分析を進めることができた。また,当初予定していなかったものの,部活動のあり方が話題になるなかで,部活動に特有の事故(水泳の飛び込みスタート事故を含む)の分析を実施することができた。いずれにおいても,啓発活動にもつなげることができた。
研究交流により,スポーツドクターならびにアスレチックトレーナーとの連携を強化することができたため,各種事故の分析において適宜意見をもらうことができた。とくに持久走による死亡事故については,突然死の発生メカニズムについてさまざまな情報の提供を受けた。
また,国際シンポジウムに招聘され,上記の内容を含めて日本のスポーツ事故の実態を報告し,スポーツ安全の専門家と意見を交換することができた。
以上の理由から,本研究はおおむね順調に進展していると評価できる。

Strategy for Future Research Activity

まずは,平成28~30年度の作業をとおして得られた知見を,ネット記事にくわえて,学会発表や論文執筆をとおして,広く世に発信したいと考えている。とくに持久走については,スポーツドクターやアスレチックトレーナー,さらには学校の保健体育科教諭と意見交換をしながら,そのあり方を慎重に検討していきたい。
また現時点では,過去の事故実態の掘り下げが不十分である。『学校の管理下の災害』等の資料をもとにして,アルバイト学生の協力を得ながら,縦断的な分析も深めたい。
なおウェブサイトについては,「学校リスク研究所」のデザインや使い勝手が時代に合わなくなってきたために,目下のところ再構築中である。作業完了後には,これまで公開してきたデータにくわえて,新たなデータも追加して,情報発信を進めたい。合わせて,英文資料も公開する予定である。

Causes of Carryover

【理由】2018年度当初に予定していた海外出張2件のうち,1件をとりやめたため。
【使用計画】2019年度は,イギリスではスポーツ指導の安全対策に関する視察を計画している。また,複数の学会大会において研究成果の報告を予定している。これらの出張のために,多額の予算が必要となる。

  • Research Products

    (8 results)

All 2019 2018

All Journal Article (5 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] スポーツに参加する子ども,指導者,教師,保護者を対象とした脳振盪の教育に関するレビュー2019

    • Author(s)
      村田祐樹,細川由梨,大伴茉奈,内田良,中川武夫
    • Journal Title

      日本臨床スポーツ医学会誌

      Volume: 27(1) Pages: 118-144

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] なぜ部活動指導は過熱するのか? : 過去の部活動経験との関連から2019

    • Author(s)
      野村駿,太田知彩,上地香杜,加藤一晃,内田良
    • Journal Title

      名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要(教育科学)

      Volume: 65(2) Pages: 109-121

  • [Journal Article] 学校管理下におけるスポーツ事故 : エビデンスによる見える化活動2018

    • Author(s)
      内田良
    • Journal Title

      法学セミナー

      Volume: 63(9) Pages: 42-45

  • [Journal Article] 制度設計なき部活動の未来を考える:持続可能なあり方を求めて2018

    • Author(s)
      内田良
    • Journal Title

      日本部活動学会研究紀要

      Volume: 1 Pages: 83-94

  • [Journal Article] 部活動改革の現在と未来2018

    • Author(s)
      内田良
    • Journal Title

      子どものからだと心白書

      Volume: 2018 Pages: 120-123

  • [Presentation] “EDUCATION”: Sports and Culture in Japan2019

    • Author(s)
      Ryo Uchida
    • Organizer
      International Symposium on Sport Integrity, Governance and Safeguarding
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Book] 子どもがやる気になるスポーツ指導2018

    • Author(s)
      佐藤善人編
    • Total Pages
      208
    • Publisher
      学文社
    • ISBN
      978-4762027826
  • [Book] 調査報告:学校の部活動と働き方改革2018

    • Author(s)
      内田良,上地香杜,加藤一晃,野村駿,太田知彩
    • Total Pages
      88
    • Publisher
      岩波書店
    • ISBN
      978-4002709895

URL: 

Published: 2019-12-27  

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