2019 Fiscal Year Research-status Report
学校のスポーツ活動における負傷事故の分析:根拠に基づく実態の解明と安全対策の推進
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16K01659
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
内田 良 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (50432282)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 学校安全 / スポーツ傷害 / スポーツ医学 / 学校事故 / 部活動 / スポーツガバナンス / スポーツインテグリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,第一に,スポーツ事故の具体的な分析として,運動部活動の競技種目別における熱中症事故について検討し,第二に,それらスポーツ事故の背景の一つと考えられるスポーツ指導のあり方について検討した。 第一の課題では,まず日本スポーツ振興センターの「学校事故事例検索データベース」を用いて2005~2018年度における死亡見舞金の支払い事例を調べると,熱中症による死亡事故は25件が確認できる。一年あたりで平均1.8件の発生率である。 また,同じく日本スポーツ振興センターが毎年刊行している『学校の管理下の災害』を参照し,2018年度に医療費の給付を行った災害発生件数(負傷・疾病の件数)のなかで,運動部活動における熱中症の件数を調べた。中学生の件数に絞って,そこに日本中学校体育連盟による加盟校調査の部活動別生徒数をもとに,各部活動の熱中症発生率(正確には医療費が給付された率)を算出した。その結果,部員数1万人以上の部活動に限ってみると,野球部やソフトボール部の発生率が高いことがわかった。部員10万人あたりで,野球部は163人,ソフトボール部は255人である。ただし単年度の分析であるため,今後対象年度を拡大する必要がある。 第二の課題では,これらの事故防止を広くアスリート保護の観点からとらえ直し,スポーツ競技団体が取り組むべき課題を,IOCやイギリスのガイドライン等から検討した。その結果,アスリート保護の国際標準化,具体的には子ども保護の国際標準化,あらゆる年代のアスリート保護の国際標準化,スポーツ・インテグリティの枠内でのアスリート保護の国際標準化の方向性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近年,学校における熱中症予防が,学校安全上のきわめて重要な課題として認識されつつある。いっぽうで,毎年学校で熱中症事案が発生し,児童生徒が病院に搬送されたとの報道は多くあるものの,その実態が数量的に整理されているとは言いがたい。 熱中症はとくに運動部活動で多く発生していることから,運動部活動別の発生率を算出する必要がある。ただし2019年度の研究では,単年度の分析に終わったため,これを複数年度に拡大しておこなうべきであった。だが,中学生の部員数の整理に手間がかかり,具体的な分析結果を算出するまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
厚生労働省は「『新しい生活様式』における熱中症予防行動のポイント」として,「高温や多湿といった環境下でのマスク着用は,熱中症のリスクが高くなるおそれがある」として,状況に応じてマスクを一時的にはずすよう提案している。 また,エアコンの使用についても,エアコンは基本的に換気をおこなうものではないため窓の開放が必要となるが,その際にはエアコンの温度設定を下げたほうがよいと提案している。 新型コロナウイルス感染症と熱中症は,リスク対策としてはトレードオフの関係にある。それだけに,熱中症の予防については例年以上に重要な案件となることが想定される。目下のところ,運動部活動における熱中症発生の分析が単年度にとどまっているため,今後対象年度を拡大していく予定である。
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Causes of Carryover |
3月中にイギリスを訪問し,スポーツ安全の研究に取り組む研究者や活動家らとともに研究会に参加し,報告をおこなう予定であったが,早い段階で渡航をあきらめることとなった。その出張旅費を使用しないまま2019年度を終えたために,次年度使用額が生じることとなった。
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Research Products
(4 results)