2016 Fiscal Year Research-status Report
大学生の社会的スキルに及ぼすスポーツ活動の効果-メタ分析及び大規模調査-
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16K01664
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
磯貝 浩久 九州工業大学, 教養教育院, 准教授 (70223055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋倉 崇行 桐蔭横浜大学, スポーツ科学研究科, 准教授(移行) (30288253)
水落 文夫 日本大学, 文理学部, 教授 (30157482)
高橋 正則 日本大学, 文理学部, 教授 (10297757)
鈴木 典 日本大学, スポーツ科学部, 教授 (10162968)
野口 智博 日本大学, 文理学部, 教授 (30349948)
水上 博司 日本大学, 文理学部, 教授 (90242924)
佐藤 佑介 日本大学, 商学部, 准教授 (00559536)
橋口 泰一 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (90434068)
近藤 克之 日本大学, スポーツ科学部, 講師 (10459943)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大学生 / 社会的スキル / スポーツ活動 / メタ分析 / ライフスキル / 体育授業 / 大規模調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の計画は、1) これまで行われてきたスポーツ活動の社会的スキルへの影響に関する文献を収集し、メタ分析によってスポーツ活動の影響の程度などを検討すること、2)大学生を対象とした大規模な横断的調査を行い、関連要因及びスポーツ活動毎の影響の相違を明らかにすることであった。 1) 文献収集及びメタ分析:メタ分析の6つの手順に従って分析を行った。文献検索では、スポーツ活動は「部活動」「サークル活動」「体育授業」、社会的スキルは「社会的スキル」「コミュニケーションスキル」「ライフスキル」「ストレス対処スキル」などを主なキーワードとして、数百の文献を収集した。コーディングでは、スポーツ活動のタイプ、対象年代、スポーツ活動の期間・頻度・時間、社会的スキルの評価尺度、関連する要因、性差等の変数を考慮した。メタ分析により、a)スポーツ活動は社会的スキルに影響すること、またスポーツ活動のタイプで影響の程度が相違すること、b)社会的スキルの側面で特に、ライフスキル、ストレス対処スキル等に影響すること、c)スポーツ活動のタイプににより影響の程度が異なることなどが明らかにされた。 2) 大規模な横断的調査:調査対象は、大学公認の運動部所属者、スポーツ関連サークル活動実施者、体育授業受講者、スポーツ非実施者を含む、3,700名の大学生であった。 調査内容は、社会的スキルに関しては、メタ分析の結果を参考に、日常生活スキル尺度、KISS-18、ストレス・コーピング尺度、運動部活動経験尺度等を調査した。促進要因としては、指導者要因、チームメート要因、活動の経験内容(楽しさ、コミットメント等)、スポーツ環境などを評価した。主な結果として、指導者やチームメートが社会的スキルの獲得を促進する要因となる可能性が示されたこと、社会的スキルの獲得及び促進要因の影響は、スポーツ活動毎で相違する可能性があることなどが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は、年度の前半に文献を収集しメタ分析によって社会的スキルへの影響の有無や程度等を明らかにすること、後半に大規模な横断的研究を行い、社会的スキル獲得の促進要因の検討及び、影響の仕方をスポーツ活動毎で比較して相違を明らかにすることであったが、以下の理由により研究はおおむね順調に進んでいると考えている。 1) 文献収集とメタ分析が完了して、スポーツ活動が社会的スキルに影響することを示せたこと。また、影響の仕方はスポーツ活動のタイプにより異なること、社会的スキルの側面によって影響の程度が異なることを示せた。 2) 大規模調査では、4000名程度の大学生の調査が実施できたこと。複数の大学・学部で調査でき、またスポーツ活動も、体育会、サークルなど様々なタイプのデータが収集できた。そして結果では、指導者やチームメートなどが社会的スキルの獲得を促す促進要因になる可能性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の主な計画は、今年度の研究結果を踏まえて、社会的スキルの獲得過程に関して縦断的に研究することである。具体的には以下の内容になる。 <縦断的研究>1)調査対象:対象はスポーツ活動実施者500名程度である。1)大学公認の運動部所属者、2)スポーツサークル活動実施者、3)体育授業受講者の3つを対象とする。2)調査期間:1年間縦断的に調査する。調査の回数は3回を予定している。3)調査内容:前年度の横断的研究の成果を基にして、社会的スキルの評価及び、促進要因の評価を行う。以上により、スポーツ活動を通した社会的スキル獲得のプロセスと獲得を促進させる要因を明らかにする。 平成30年度の主な計画は、2年間の研究成果を基に質的研究と介入研究を行うことである。具体的には以下の内容になる。 <質的研究>1)対象は社会的スキルの獲得が著しい者と、獲得のみられなかった者の20人程度とする。2)インタビューでは、「スポーツ活動を通して社会的スキルが、なぜ、どのように獲得されたと思うか」などについて質問する。3)グランテッドセオリーなど用い質的に分析して、スポーツを通した社会的スキル獲得の理由及び社会的スキルの獲得過程について明らかにする。 <介入研究>1)介入対象:介入は体育会運動部、サークル、体育授業の3つのスポーツ集団を対象として行う。介入期間は3ヶ月程度とする。2)介入内容:前年度までの研究知見を基に、社会的スキル獲得を促進する要因を操作した介入プログラムを作成する。3)介入プログラムを実施して、社会的スキルの獲得の過程や獲得の程度が変化するか検討することにより、社会的スキルを身につけやすいスポーツ指導を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初予定よりも少ない経費で研究が進んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査用紙の紙質を良いものにして回答しやすくしたり、データ入力者を多く採用して、その謝金に経費を補充する。
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