2017 Fiscal Year Research-status Report
柔道初心者のための受身指導プログラムの提案: 柔道死亡事故ゼロを目指して
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16K01668
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Research Institution | Ryotokuji University |
Principal Investigator |
越田 専太郎 了徳寺大学, 健康科学部, 准教授 (60532637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 孝法 了徳寺大学, 健康科学部, 准教授 (60735041)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 柔道 / 武道 / バイオメカニクス / 受け身動作 / 頭部外傷予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、柔道で生じる重篤な頭部外傷予防策の確立をめざし、特に受け身動作において頭部外傷発生に関連する体力および技術要因を明らかにすること、また上記の発生要因を考慮した損傷予防プログラムの開発およびその効果を検証することを目的に実施している。 今年度は、中学校体育において指導される各種投げ技に対する受け身動作の頭頚部バイオメカニクスの比較、さらに、頭部損傷リスクを示すバイオメカニクス変数と頚部筋力との関係性の明らかにすることを目的とした研究を実施した。得られた成果は国内外の学会および論文として発表した。主な成果を以下に示す。 受け身動作時の頸部セグメントの3次元角度変化を定性的に分析した結果、熟練者群と初心者群に著明な差は認められかった。一方で、大外刈の受け身動作においては、伸展方向の角運動量が初心者群で有意に高値を示したものの、前額面および水平面の角運動量について両群間に有意な差は認められなかった。上記の結果は、特に頭頸部においては伸展方向の動きに着目する必要があることを示している。一方で、我々の研究は、頚部屈曲筋力は初心者群における頭部損傷リスクとは関連しなかったことも示した。この結果は、頚部屈曲筋力向上のみでは柔道による頭部外傷予防の効果は十分ではない可能性を示唆している。 現在は、頭部外傷リスクが最も高い大外刈動作に対する受け身動作を効果的に学習するためのプログラムの開発や検証、さらに、筋力以外の体力要因から、頭部外傷リスクが高い対象を抽出するスクリーニングテストの開発について研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究成果についてはInternational Society of Biomehanics in SportsおよびInternational budo conferenceのproceedingsとして発表した。また、日本体力医学会学術集会、千葉県スポーツ医学研究会においても発表した。今年度の補助金は、主に上記の研究活動を遂行するための測定機器購入、学会参加旅費、英文校正、対象謝礼に使用した。 現在までに初心者30名、熟練者ともに25名の測定を終了している。平成30年度は新たに熟練者・初心者ともに各15名以上の測定を予定している。また、データ分析も順調に進んでいる。頭部外傷予防プログラム(受け身学習プログラム)の開発についても、研究連携者の協力により予備測定が進められている。 研究発表も概ね順調に実施している。本年度中に海外学会の発表(proceedings)1篇が採択されている。また、研究会発表を受けて、千葉県スポーツ医学研究会より研究会誌執筆の推薦を受けている。 但し、平成28年度中に生じた慣性センサの精度の問題が解決されていない。引き続き解決に向けて測定を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は頭部外傷リスクが最も高い大外刈動作に対する受け身動作を効果的に学習するためのプログラムを考案、および頭部外傷リスクが高い対象を抽出するスクリーニングテストの開発する研究を進める。 頭部外傷予防プログラムについては、その効果も検証する。また、他大学柔道部など新たな研究協力体制の構築をすすめていく予定である。
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Causes of Carryover |
慣性センサの購入を目的としていたが、予備測定で十分な測定精度を確認できなかったため、余剰金が生じた。十分に検証を重ね、慣性センサを購入する。 さらに、30年度はすでに採択されている国際学会発表の参加費および旅費、発表内容公開用のホームページ作成費用、対象謝礼に使用する計画である。
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Research Products
(5 results)