2019 Fiscal Year Research-status Report
2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた環境教育の推進に関する研究
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16K01673
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
大津 克哉 東海大学, 体育学部, 准教授 (70598094)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 第3回冬季ユースオリンピック大会 / 文化・教育プログラム / スポーツと環境 / 持続可能性 / 環境教育 / オリンピズム |
Outline of Annual Research Achievements |
大会の規模やコストを削減して運営の簡素化を図ることを提言するOlympic Games Impact(OGI)研究の指標の一つに挙げられる「環境の持続可能性の確保(sustainable development)」に着目した。今年度は、「第3回冬季ユースオリンピック競技大会(スイス・ローザンヌ)」での情報収集を中心とし、事前に大会組織委員会の計画を精査したうえで、現地で実際の取り組みの様子を調査した。 これまでユースオリンピック競技大会(YOG)は夏季・冬季と3回ずつ開催されているが、YOGを象徴する「文化・教育プログラム」の名称はこれまで度々変更されている。今大会もプログラムの名称変更がされているのだが、その内実については、YOG自体の報道が少ないばかりか、プログラムの活動内容については全く伝えられていない。 さらに、オリンピックの精神(オリンピズム)の3本柱に位置付けられている「環境」については、目立った啓発活動が見られなかった。第1回目の夏季シンガポール大会で展開された「文化・教育プログラム」には、YOGに期待されているオリンピックの価値が体現されており、勝敗よりも選手への教育や交流に重きを置いているのが伝わるものであった。しかし、第3回冬季YOGでの選手向けのプログラム内容を見ていくと、大会を重ねていくごとにオリンピズムの3本柱(スポーツ・文化・環境)をバランス良く学ぶことができる内容から、フェアプレーや八百長の防止、アンチドーピングに関する情報提供、さらにあらゆるハラスメントに焦点を当てたアスリートへの注意喚起、トレーナーから効率の良いトレーニングの方法やリカバリーについて、デジタルソーシャルメディアを最大限に活用して発信することを学習するメディアトレーニングの企画など、若手エリートアスリートへの技術的な支援に傾向している感は否めない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)6月:日本オリンピック委員会(JOC)主催の「JOCオリンピアン研修会」において、過去のオリンピック大会に参加経験のあるアスリート(オリンピアン)を対象とした研修会で講師を務め、オリンピック大会やユースオリンピック大会で展開された環境対策について発表を行った。(2)10月:JOC主催の「第15回JOCスポーツと環境・地域セミナー(千葉県千葉市)」でパネリストを務めた。スポーツ界における地球環境保全の必要性について発表を行った。(3)12月:東京外国語大学で開催された東京2020応援プログラムの講座で講師を務めた。東京2020大会に先立ち、SDG’sの観点から、スポーツと持続可能性についてオリンピック・ パラリンピックという国際的な祭典の開催意義について総括した。(4)1月:第3回冬季ユースオリンピック競技大会(スイス・ローザンヌ)の視察の際に、大会組織委員会ならびにオリンピック研究者との意見交換を行った。(5)2月:愛知県豊田市市役所環境研究会で講師を務め、国際オリンピック委員会(IOC)による環境問題への取り組みの経緯と効果について発表を行った。
以上のように、2019年度は研究についてのアウトリーチが順調に進んでいるため、「おおむね順調な進展」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる2020年度は、研究のまとめとして、5月にギリシャ・オリンピアで開催される国際オリンピック・アカデミー(IOA)主催の国際会議で発表(新型コロナウイルスの影響で秋に延期が決定)する。さらに、9月に横浜で開催される2020横浜スポーツ学術会議で公表、発表する準備を整えている。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、Tokyo2020の大会会場で展開される選手ならびに来場者を対象とした「文化・教育プログラム」の調査のための実地調査費を計上していた。しかし、大会チケットの取扱い業者が予定枚数を確保出来なかったために残金が生じた。しかし、これまでの研究成果を公表する場として、2020年9月に神奈川県・横浜市で開催される国際学会「The 2020 Yokohama Sport Confere」を選択し、その準備と参加費用等に充当する予定である。
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