2016 Fiscal Year Research-status Report
動脈スティフネスの低下が運動パフォーマンスを高める機序の解明と実践的応用
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16K01676
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
岡本 孝信 日本体育大学, 体育学部, 教授 (40330518)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脈波伝播速度 / 左心室拡張機能 / 運動パフォーマンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は動脈スティフネス(硬化度)の低下がスポーツパフォーマンスを高める機序を明らかにし、動脈スティフネスを指標としたコンディショニング(体調を整える)の実践法の開発を目指すことを目的としている。本年度は日頃から専門的にトレーニングを行っている成人男性15名を対象として実験室において、動脈スティフネス、左心室拡張機能および身体の柔軟性が有酸素性能力に及ぼす影響について検討した。被験者は実験室入室後20分間の安静を取り、血圧脈波検査装置を用いて頸動脈―大腿動脈間脈波伝播速度(大動脈スティフネス)、超音波画像診断装置を用いて左心室拡張機能、長座体前屈計を用いて長座体前屈を測定した。測定後、さらに20分間の安静を取り、有酸素性能力として最高酸素摂取量(自転車エルゴメータによる漸増負荷テスト)を測定した。なお、最高酸素摂取量の測定は1週間以上の間隔を空け2回実施した。測定した最高酸素摂取量を大動脈スティフネスが高い時と低い時に分類して比較すると、大動脈スティフネスが高い時よりも低い時に高値を示した。また、左心室拡張機能は大動脈スティフネスが高い時よりも低い時に高くなることが明らかにされた。一方、身体の柔軟性は大動脈スティフネスが高い時よりも低い時に高値を示した。これらの結果から、大動脈スティフネスは有酸素性運動パフォーマンスに影響を与えるとともに、その機序として左心室拡張機能が関係している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備実験に多少時間を費やしたものの、本年度に計画した実験は順調に行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の実験において大動脈スティフネスは有酸素性運動パフォーマンスに影響を与えるとともに、その機序として左心室拡張機能が関係している可能性が示唆された。また、身体の柔軟性(長座体前屈)も有酸素性運動パフォーマンスに影響を及ぼすことが明らかにされた。したがって、本年度は身体の柔軟性を高める方法としてストレッチを行い、動脈スティフネスと左心室拡張機能が変化するかどうか、また、その変化が運動パフォーマンスに影響を及ぼすかどうかについて検討する。
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Causes of Carryover |
ほぼ当初計画していた通りの予算執行となったが、人件費などの支出が少し抑えられたこともあり、残予算を次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
心エコーの消耗品費などに支出する予定である。
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