2017 Fiscal Year Research-status Report
呼吸筋トレーニングが持久性能力を高める生理的メカニズムの究明
Project/Area Number |
16K01678
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
山地 啓司 立正大学, 法学部, 教授 (50012571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 誠仁 山梨学院大学, スポーツ科学部, 教授 (30176599)
山本 正彦 東京工芸大学, 工学部, 准教授 (40339809)
鍋倉 賢治 筑波大学, 体育系, 教授 (60237584)
清水 茂幸 岩手大学, 教育学部, 教授 (70272185)
中垣 浩平 山梨学院大学, スポーツ科学部, 准教授 (30549473)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 呼吸筋トレーニング / ノーズクリップ / 大学駅伝選手 |
Outline of Annual Research Achievements |
持久性運動によって呼吸筋は疲労し,また,呼吸筋トレーニングによって呼吸筋の筋力や持久力が改善することが報告されている.しかし,呼吸筋を鍛えることが持久性運動のパフォーマンスに好影響を与えるか否かについてはまだ十分に統一された見解が得られていない.その原因の1つは,これまでの呼吸筋トレーニングが一般に静止状態で実施されており,専門とする運動様式に即した運動中に実施されていないことにある.そこで2017年度の研究では,大学駅伝選手(20名)を対象に高強度のトレーニング(>80%VO2max)中にノーズクリップを用いた呼吸筋トレーニングを行うことが,呼吸筋機能やパフォーマンスへどのような影響を与えるかについて検証した. 被験者はノーズクリップをして専門的ランニングトレーニングをする実験群(10名),ノーズクリップをしないで専門的ランニングトレーニングのみを行うコントロール群(10名)を無作為に選び,8週間のトレーニングを行った.その結果,実験群とコントロールン群の5,000mの記録に有意な改善が認められるものの両者の間に有意な違いが認められるまでに至らなかった.しかし、両群の間に呼吸機能(最大呼気流量,中間呼気流量,安静時最大換気量,最大呼気及び吸気口腔内圧)において有意な改善が認められたことから,この種の短期間の呼吸筋のトレーニングによってパフォーマンスをコントロール群に比べ有意に改善するまでに到らないが、さらに長期継続して呼吸筋トレーニングを行うことによってパフォーマンスにも好影響が顕われる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究では,高強度(>80%VO2max)のランニング中に限定してノーズクリップを鼻部に装着したが、被験者の内省では呼吸がきつく十分スピードが高められなかったという意見が多かった.そこで、今年度は欧米で行われている安静状態でパワーブリーズを用いた呼吸筋トレーニングによって、大学駅伝選手の生理的機能(呼吸筋や酸素運搬機能)や持久性のパフォーマンスに好影響が与えられるか否か検証する.今年度は箱根駅伝を目指す大学のトップ選手を対象(実験群10名、コントロール群10名の計20名)に8月~11月に実施する.
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Strategy for Future Research Activity |
近年、持久性の競技力向上のために呼吸筋トレーニングが有効であることが海外で報告されている.しかし、これまでの呼吸筋トレーニングが専門とするスポーツのトレーニングとは別に、静止状態で呼吸筋トレーニング機器として比較的高価な器具を用いたトレーニングで、しかも対象者がレクレーション的に運動を行っているものに限定されていた.そこで、平成28年度には大学駅伝選手を対象に、しかも、専門的ランニングの高強度(>80%VO2max)のトレーニング中に廉価なシンクロナイズ・スイミング用のノーズクリップをランナーの鼻部に着用して、8週間の呼吸トレーニングを実施した.その結果、日々激しいトレーニングを実施している競技選手でも、呼吸筋トレーニングによって呼吸機能の筋力と持久力が向上する傾向を示し、実験群とコントロール群の5,000mの記録に有意な改善がみられたが、両者の間に有意な差を認めるまでに至らなかった.当初両群の被験者が各10名であったがトレーニング後には各3名の被験者がドロップアウトしたことが影響したのかもしれない.
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由と使用計画) 平成30年度では、当初被験者が9名いたが、途中で1名がけがのため、また1名が中間テストの日にフルマラソン出場したため、最終的には7名が実験対象になった.そのことが影響で昨年度の予算が今年度の予算に繰り越された.今年度は実験群の呼吸筋のトレーニング器具としてパワーブリーズを購入しなければならないので、繰越予算をその購入費
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Research Products
(3 results)