2017 Fiscal Year Research-status Report
体表面形状計測による肩甲骨を含む肩関節運動の測定精度改善と体幹運動の測定法の開発
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16K01680
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
中村 康雄 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (00323957)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肩甲骨 / サーフェースマップ / モーションキャプチャ / 無侵襲 |
Outline of Annual Research Achievements |
日常生活動作や,上肢を多用するスポーツにおいて,肩甲骨を含む肩関節の動作が非常に重要である.しかし肩甲骨は,体表下を滑るように動く.そのため,従来からスポーツ動作の測定に利用されている動作解析法を利用することが困難である.一般的には,骨特徴点上の皮膚に反射マーカを取り付け,そのマーカ位置を計測することで,対象とする骨の位置を計測する.しかし,前述したように,肩甲骨は体表下を滑るように動く,そのため肩甲骨の骨特徴点位置は体表マーカから測定することが困難である.そこで肩甲骨動作は,X線画像の利用や,体表外から肩甲骨に挿入したピンに取り付けたセンサにより計測がなされてきた.しかし,侵襲性が高く,日常生活動作やスポーツ動作の測定には利用が困難である.そこで,近年,体表面の形状を計測することで,肩甲骨の動作を無侵襲に推定する方法が開発されてきた.本申請は,この手法を用いた肩甲骨動作の推定精度の向上を目的としている. 先行研究では,2cm間隔で10列10行の合計100個からなるマーカを体表面に貼付していた.本申請において昨年度は,測定前の準備時間を削減し被検者への負担を減らすため,マーカ数を削減し,3cm間隔の6列6行(合計36個)からなるマーカ格子を利用した.しかし,マーカ格子がカバーする領域が減少したため推定精度が低下する傾向が見られた.そこで,本年度は,マーカ数を増加し,3cm間隔の7列7行(合計49個)とし,従来と同等の測定面積とした.体表面の測定範囲を増加したため,肩甲骨動作の測定範囲は従来と同様とできたが,体表面の分解能を3cmとしたため,肩甲骨動作の測定誤差は同様に増加する傾向にあった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肩甲骨の測定可動域を広くするため,昨年度より領域を拡大し,3cm間隔の7列7行(合計49個)としたことから,肩甲骨の動作範囲をカバーできた.そこで今年度は,データの評価用に,矢状面に沿った上腕の挙上運動(側方挙上)から,30度刻みで,矢状面に沿った上腕の挙上運動(前方挙上)までの,4つの挙上面(0度,30度,60度,90度)に対して,それぞれ,下垂位(0度)から最大挙上(180度)まで,30度きざみで,7姿勢(0度,30度,60度,90度,120度,150度,180度)を計測した.また,日常生活動作の評価として,手で口を押さえる,手で髪(頭部)を触る,手で背中を触る,手を側方に伸ばす,手を前方に伸ばす,矢状面と前額面の中間の挙上面(45度)において,45度と135度の上腕挙上を計測した.この日常生活動作に関する評価が完了していないため,上記の区分とした.
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Strategy for Future Research Activity |
測定において,被検者への負担を減らすことも,この申請の目的の一部である.そのため従来の2cmの格子間隔ではマーカ数が多くなり,被検者への負担が大きくなることから避ける必要があった.そこで,3cm間隔の7列7行(合計49個)のマーカを用いた体表面計測とした.これ以上マーカの格子間隔を広くする(4cmなど)ことは,著しい測定精度の低下が予想される.そのため,測定コストから考えて,3cm間隔が妥当と考えられる.しかしながら,これ以上格子間隔を狭められないことから,体表面の計測データだけから,肩甲骨の測定精度を向上させることは困難であると考えられる. そこで,体表面を計測する格子マーカに加えて,肩甲骨動作を計測する手法であるAMC(acromion marker cluster)法を併用する.AMC法は,3個以上のマーカを小型のベースに取り付け一つの剛体とする,これを肩甲骨の肩峰上の皮膚面に取り付ける方法である.サーフェースマップ法とAMC法は,マーカの位置を調整することで同時利用が可能である.これら2つの測定法を併用することで,測定精度の向上を検討する.
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Causes of Carryover |
前年度に購入したマーカを再利用したため,今年度に購入したマーカ数を若干削減できた. 差額は,反射マーカの補充に充てる.
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