2016 Fiscal Year Research-status Report
棘下筋のトレーニング効果に関する研究:動作特性と介入による影響の検証
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16K01685
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
谷本 道哉 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (70435733)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 棘下筋 / 関節スタビリティ / ローテーターカフ / 筋活動レベル / 筋厚 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)肩関節動作のバランス要素の大きい種目(ダンベルベンチプレス:DP)と中程度の種目(バーベルベンチプレス)、小さい種目(マシンベンチプレス:MP)における棘下筋の筋活動レベルの大小を評価する。 の実験を終え、本年の日本体力医学会大会にて口頭発表の予定である。バランスの安定と関節回転軸の安定は別のもの」であることから、バランス要素の有無はローテータカフの筋活動に大きく影響しない との仮説を立てていたが、その仮説を検証する結果が得られた。棘下筋における筋活動レベルの比較では、バランス要素の大きいエクササイズ種目であっても小さいエクササイズ種目であっても、活動レベルに差は見られなかった。なお、3つの種目の比較は各種目の8RMで行ったが、動作の主動筋である大胸筋、三角筋の筋活動レベルにおいても試技間の差は見られなかった。 (2)野球投手のローテータカフ筋量の観察 の実験を終え、本年のヨーロッパスポーツ科学会年次大会に演題登録および採択済みである。日本体力医学会大会にて口頭発表の予定である。投球動作を繰り返し行っている投手のローテータカフの棘下筋の横断面積は一般の運動していない若年男性と有意差はなく、左右差も見られなかった。この理由は定かではないが、投球においては、トレーニングを行っていない状態での棘下筋のサイズが動作実行のための必要な機能をすでに有している、十分条件を満たしている可能性がある。なお、同時に測定した柔道選手の棘下筋の筋厚は一般成人の1.5倍程度と非常に大きく発達していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画は H28年度:(1)肩関節動作のバランス要素の大きい種目(ダンベルベンチプレス:DP)と小さい種目(マシンベンチプレス:MP)における棘下筋の筋活動レベルの大小を評価する。 H29年度:(2)肩関節外旋作用の強い種目(アップライトローイング:UR)のトレーニング実施の長期運動介入を行い、棘下筋等の筋肥大・筋力増強効果を検証する。 H30年度:(3)野球投手のローテータカフ筋量の観察、および投球動作における棘下筋筋活動レベルの評価。 を行う予定としていた。昨年度実施予定の(1)は計画通り遂行し、H30年度予定の研究の一部を野球部投手の分析機会を得られたため、予定を先んじて実施することができた。若干予定よりも進んでいる状態であり、研究はほぼ計画通りに進行している。順調な進度であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進んでおり計画変更の予定は現在のところはない。H29年度は予定通り (2)肩関節外旋作用の強い種目(アップライトローイング:UR)のトレーニング実施の長期運動介入を行い、棘下筋等の筋肥大・筋力増強効果を検証する。 を実施する予定である。 なお、H30年度実施計画であった(3)野球投手のローテータカフ筋量の観察 において得られた結果が仮説を反証するものであったため、この結果の帰納法的な解釈と、その解釈からの新たな実験系の計画を今後考えていく必要がある。この点における研究計画の立案、予備的な実験が新たな課題となる。
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Causes of Carryover |
H29年度は、超音波筋厚皮脂厚計測装置による測定を追加して行う。研究遂行において仮説を反証する結果が現時点ででているため、より詳細なまた、よりサンプル数を増やした筋厚データを収集するため、消耗品費を節約した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
棘下筋および肩関節動作関連筋の筋厚測定をサンプル数と測定個所数を増やして追加して収集する。増やしたサンプルに係る実験謝礼金として使用する。
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