2019 Fiscal Year Annual Research Report
A study of the influence process of self-other interaction on athletic injury psychological acceptance of injured athletes
Project/Area Number |
16K01687
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
辰巳 智則 畿央大学, 教育学部, 准教授 (30441447)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スポーツ傷害受容 / 情動調整行動 / ソーシャル・サポート / リハビリテーション / 心理支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、負傷競技者のスポーツ傷害受容に及ぼす影響過程を情動調整行動とソーシャル・サポートを調節変数として検討することを目的に、量的研究(課題1)と質的研究(課題2)の手法を用いて段階的に検討した。 課題1は、2017年度に国際誌に受理されたことで一定の完成をみた。課題2は、課題1の結論の整合性と発展的仮説を得ることを目的とした点に変わりはないが、その方法に大きな変更が加えられた。具体には、当初の計画では複数事例をモンタージュする方法を意図していたが、単一事例に基づく検討から個人の負傷経験の深みを探る計画へとシフトさせた。この課題2の計画は、2018年度内に概ね遂行を終えていたが、これまでの研究成果をまとめる必要性が生じたため、2019年度に計画が延長された。 最終年度となる2019年度は、本研究課題の総括として課題2の成果発表を行うことをゴールとした。具体には、2018年度に分析された結果を再吟味し、ドイツのミュンスターで開催された欧州スポーツ心理学会にて知見を提出した。 本研究課題で得られた知見としては大きく3点あり、第一点目は、重要な他者によるソーシャル・サポートの実行度の違いにより、負傷競技者が陰性情動に対して行使している情動調整行動とスポーツ傷害受容の影響過程が異なること(課題1)、第二点目はソーシャル・サポートと情動調整行動は概念的に弁別でき、双方向の因果作用も仮定されること(課題2)、第三点目に、サポートの有無に関する条件と負傷後の時期の違いにより、負傷競技者が行使している情動調整行動の質が異なることが明らかとなり、時期と情動調整の質に応じて支援の質を変えていくことの有効性が示唆された(課題2)。なお、課題2の研究成果は2019年度内に論文に概ねまとめられ、次年度にて学術誌への投稿を予定している。
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