2017 Fiscal Year Research-status Report
トップ選手の熟達体験とエキスパート指導者の実践知に基づくコーチングラダーの開発
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16K01693
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| Research Institution | Nihon University |
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Principal Investigator |
北村 勝朗 日本大学, 理工学部, 教授 (50195286)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 万丈 日本女子体育大学, 体育学部, 教授 (40280333)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | スポーツ指導者 / エキスパート / 熟達 / コーチング / ラダー / 実践知 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は，スポーツ指導者育成を視野に入れた段階的な指導力養成支援システムの構築を目指すことを目的としている。そのために，現場の問題解決力を実践知と捉えた上で，指導熟達の段階に応じたステップを「コーチングラダー」と位置づけ，いわゆる実践知のはしごによって指導者の現在の臨床実践能力を確認し，次のレベルへの目標につなげていくシステムを構築する。具体的には，①エキスパート選手のジュニア時代からトップレベルに至る熟達体験に影響を与えた指導の特徴の解明，②エキスパート指導者のもつ暗黙知の解明，③指導現場に利用可能なコーチングラダーの開発及び有効性の検証を行う。
２年目である平成２９年度の主な計画は，エキスパート指導者の指導体験に関する調査の実施であった。調査では，自身が日本代表として国際大会に出場した経験をもち，更に指導者として日本国内のトップレベル選手の育成にあたっている指導者を複数名対象として実施した。調査の内容としては，対象指導者のジュニア時代からトップレベルに至る選手経験について遡及的にたどりながら，熟達過程の節目において指導を受けた体験についてインタビュー調査を実施した。更に，指導者としての立場から，指導者初期から現在に至る過程での指導体験を遡及的に辿りながら，指導観，指導行動，指導にかかわる暗黙知についてインタビュー調査を実施した。調査は１対１の深層的，自由回答的インタビューを半構造的に実施し，対象者の指導現場における実践知の獲得過程に焦点を当てて実施した。その結果，エキスパート指導者のもつ実践知は，知識，実践，展望の要素によって形成される点が推察された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成２９年度の研究計画は，エキスパート・スポーツ指導者の指導熟達化過程に関するインタビュー調査の実施であった。インタビュー調査は，インタビュー対象者数に関しては計画していた人数より少ない人数ではあったが，逆にインタビュー内容は深く厚い記述がなされていたため，総合的にみて，計画していた研究課題については，ほぼ順調に実施されている。具体的には，インタビュー調査では，複数回のオリンピック出場選手を含めたエキスパート・スポーツ選手の熟達体験に関するデータが得られ，更に，日本代表選手を指導するエキスパート・スポーツ指導者の指導熟達体験の詳細について深い記述的データが得られている。
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| Strategy for Future Research Activity |
３年目の平成３０年度は，１年目，２年目の研究によって明らかとなった理論的背景や，得られたデータを基に，いつ，どのような指導的かかわりを実施することが，選手の熟達化過程にどのように作用するか，その実践能力について明らかにする。そのために，次の３点について研究を推進する。
１．エキスパート選手を対象とした熟達体験に関するインタビュー調査の実施
２．エキスパート指導者を対象とした指導熟達体験に関するインタビュー調査の実施
３．ジュニアからトップに至る選手の熟達化過程に影響を及ぼす特徴的な指導行動の分析
インタビューに際しては，スノーボール・サンプリング方式による対象者選定を行い，日本国内在住のエキスパート選手及び指導者に対して実施する。
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| Causes of Carryover |
申請時は仙台から移動する形で調査旅費の予算を組んでいたが，平成２９年度より勤務先が関東地方に変更となり，調査旅費使用額が大幅に減額となったことから次年度使用額が生じた。また，インタビュー対象者数が計画していた人数よりも少なかったことから調査旅費に差額が生じた。生じた使用額は，平成３０年度において，これまでの研究成果の積極的な発信に当て，複数回の国際学会での発表と，国内関連学会での発表，更にはインタビュー調査を実施する計画である。
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