2016 Fiscal Year Research-status Report
ドロップジャンプにおける体幹安定性の力学的検討およびトレーニング効果
Project/Area Number |
16K01698
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山田 哲 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (00511784)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ドロップジャンプ / 跳躍高 / 地面反力 / 体幹 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドロップジャンプ中の体幹の挙動を明らかにするため,成人男性15名を被験者とし,30cm高の台からドロップジャンプ,および垂直跳びを実施させた.試技回数は5回とし,跳躍時間の最も長い試技を分析対象とする.全身の動作を分析するために左半身12点に反射マーカーを貼付し,左側方からビデオカメラ(sampling rate: 120Hz, shutter speed: 1/500s)で撮影した.地面反力計は,踏切地点に設置し,データはADコンバータを用いて1000Hzでコンピュータに取り込んだ.分析は,ドロップジャンプおよび垂直跳びを矢状面内の運動と仮定し,二次元分析を行った. その結果,跳躍高は,ドロップジャンプ:0.178±0.046m,垂直跳び:0.339±0.047mであった.また,両跳躍高間に有意な相関は見られなかった.地面反力のピーク値は,ドロップジャンプ:4160±436N,垂直跳び:1564±123Nであった.ドロップジャンプでの地面反力のピーク値は,垂直跳びに比べ倍以上であったが,接地時間が短く力積が小さいため,垂直跳びに比べて跳躍高は小さくなった.踏切動作中の体幹の長さ(大転子から胸骨上縁までの距離)の変化率は,ドロップジャンプ:99.0±0.8%,垂直跳び:91.2±3.6%であった.ドロップジャンプでは,最も変化した被験者でも97.8%であり,垂直跳びに比べ変化が小さかった.また,地面反力のピーク値との間に有意な相関は見られなかった. これらの結果から,ドロップジャンプでは,体幹の長さの変化率は小さいが,地面反力や関節間力は大きいため,力学的仕事やパワー等のキネティクス的なパラメータがパフォーマンスに影響することが考えられる.また,負荷が大きくなった場合に変化率に影響があるのかどうか確認する必要があると考えられる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Force Platform使用にあたりコントローラーが必要であることが指摘され,物品購入計画の見直しを行ったが,当初予算では初年度にコントローラーを購入できなかった.そのため前倒し支払い請求を行い測定に必要な物品購入を行った. しかしながら,コントローラーの納品が11月末にずれ込み,その後からデータ収集プログラムの作成・テスト,予備実験の実施となったため実験の予定がやや遅れた.
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの分析によって,ドロップジャンプでの体幹の長さの変化率は小さいことが明らかとなった.しかしながら,地面反力や関節間力等の力は垂直跳びに比べ大きいことから,力学的仕事等のキネティクス的なパラメータについても検討する必要がある.従って,本年度は,ドロップジャンプ中の体幹による力学的仕事を推定するため,上記の実験で得られたデータを基に逆動力学演算を行い,関節トルク,関節力,関節トルクパワー等のキネティックパラメーターを得る.また,体幹の上部および下部は,伸縮が生じるモデルとし,伸縮によるパワーも算出する.算出したキネティックパラメーターを基に体幹による力学的仕事の推定および検討を行う. また,負荷の大きさによる体幹の長さの変化率への影響についても検討する必要があることから,ドロップジャンプ中の体幹の挙動と地面反力の関係を明らかにするため,成人男性20名に高さの異なる台(30cm, 40cm, 50cm, 60cm)からのドロップジャンプ,および垂直跳びを実施させる.測定は,平成28年度の実験と同様に行い,台高による地面反力,パフォーマンス,体幹の挙動の変化について検討する. その後,体幹のトレーニングによるドロップジャンプのパフォーマンスの変化と体幹の安定性および力学的仕事への影響を明らかにするため,成人男性に8週間の体幹のトレーニングを行わせ,トレーニング実施前後での体幹の安定性と力学的仕事の変化,およびパフォーマンスへの影響を検討する. 体幹の挙動がパフォーマンスへ影響することが明らかとなった場合には,ドロップジャンプを用いた体幹の安定性評価指標についての検討も行う.
|
Causes of Carryover |
測定に必要な物品があることが判明し,前倒し請求を行った.そのため物品費以外の費用についても減額するようにした.本年度の実験データは,他の実験の中で付加的に与えた課題から得たものであるため,謝金が発生しなかった.脊柱の挙動や被験者の数がやや少ないといった点もあることから,本年度のデータは予備実験的に扱い,本年度の謝金としての予算は,次年度の実験での謝金に追加して使用する.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に計画していた実験を行う際,本年度の実験で収集した課題についても再度収集する.その際に謝金の金額を調整する必要があると考えらえる.そのための費用として使用する. また,前倒し請求により次年度使用額が減った分を旅費から流用する予定であったが,金額調整の有無によっては謝金からも賄うことを考えている.
|