2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K01701
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
高橋 豪仁 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (40206834)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スポーツ / 地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
奈良市および奈良県が、日本フットボールリーグ(JFL)に属する「奈良クラブ」、およびbjリーグ(現在はBリーグ)に属する「バンビシャス奈良」に対して如何なる支援をしているのか、そして、これらのチームはどのような地域貢献事業を実施しているのかを調査した。奈良市は2013年度にスポーツ振興課に「スポーツ産業支援グループ」を設置し、奈良市ホームタウンスポーツ推進パートナー事業「Top Sports City 奈良」を実施した。奈良市は奈良クラブとバンビシャス奈良をパートナーとして認定し、J3の規格にあうように市営グランドのピッチを拡幅したり、市営体育館にエアコンを設置するなどしてハード面の支援をするとともに、「ふるさと納税」制度によって両チームに寄付金が送られる仕組みを作った。バンビシャス奈良は、bjリーグに加盟した初年度、2013年11月から2014年9月の期間に、奈良県から助成金を受け、起業支援型地域雇用創造事業を活用して、社員4名を雇用した。一方、両チームは奈良市総合財団と連携して、小学生を対象としたスポーツ教室を実施した。また、バンビシャス奈良は、奈良県の事業委託という形で、小中学生を対象にしたバスケットの指導、県内の諸行事への選手の参加、県外からの観戦者への観光PR、アウェイの試合では県の特産品をPRするブースの設置等を実施した。 2015年に日本フットボールリーグ(JFL)に入会し、Jリーグ昇格を目指している「奈良クラブ」のホームゲーム(2016年10月22日、於:奈良市鴻ノ池陸上競技場)において、観戦者に対する質問紙調査を実施した(有効回答:240票、有効回答率:90.2%)。8割以上の観戦者が奈良クラブは地域で重要な役割を果たしていると認識し、9割以上の観戦者が地方自治体は奈良クラブを支援すべきだと考えているという結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度の計画通り、奈良市を本拠地とする奈良クラブのホームゲーム観戦者への質問紙調査を実施するとともに、奈良市および奈良県が、バンビシャス奈良と奈良クラブに対して如何なる支援をしているのか、また両チームがどのような地域貢献活動を実施しているのかについては、ある程度明らかにすることができた。しかしながら、私的セクターであるスポンサー企業が如何なる支援を両チームに対して行っているのかについては、十分に明らかにすることができなかった。また、この研究における理論的基盤を強固にするための文献研究についても十分実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に実施することができなかった私的セクターの果たす役割の検討をしたい。すなわち、両チームのスポンサー企業が、何を目的にして如何なる支援をしているかについて調査する。こうした調査によって、チームが「共的セクター」として、「住民」「企業」「地方自治体」との関係性の中で、どのようにして地域活性化に貢献し得ているのかに迫りたい。また、この研究における理論的基盤を強固にするために、公共性に関する文献研究にも取り取り組む。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、私的セクターであるスポンサー企業に対する調査や文献研究を十分に実施することができなかったので、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、前年度に実施することができなかったスポンサー企業に対する調査を実施するとともに、「バンビシャス奈良」の観客調査を実施する。また、奈良市がパートナーとして認定している「シエルヴォ奈良」についても調査対象とする。
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