2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K01701
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
高橋 豪仁 奈良教育大学, 保健体育講座, 教授 (40206834)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プロスポーツ / 地域 / 公共性 |
Outline of Annual Research Achievements |
Jリーグに所属する松本山雅FCを取りあげ、そのホームタウンとなっている、「公的セクター」である松本市との関係に注目し、松本山雅FCの設立の経緯や活動状況を明らかにした。松本山雅FCに対して松本市が行った支援として、松本市サッカー場の使用料を50%減免しての優先使用(2012年~2013年)、無料シャトルバスの提供(2012年~2013年)、2012年に県立のサッカースタジアム「アルウィン」がJ1 クラブライセンス条件を満たすように改修を県に要望、アウェイサポーター向けの臨時駐車場の提供(2015年~)、中心市街地でアウェイゲームのパブリックビューイング(2016年は8回、2017年は5回)、アウェイサポーターへの観光・グルメマップの配布(年13,000部)等があった。 また、松本市が(株)松本山雅に対して2000万円を出資したことや、松本山雅FCの練習拠点となるサッカー場の整備に約14億円を支出したのは地方自治法違反だとして同市の住民が松本市長に返還を求めた訴訟(公金支出差止等請求事件)を通して、地方自治体がプロチームを支援する際の有効性と限界について検討した。2017年9月8日に松本市の担当職員に対して、2017年12月8日に(株)松本山雅の担当者に対して聞き取り調査をするとともに、裁判の訴状、準備書面、判決文などの訴訟記録を研究資料とした。 2015年に日本フットボールリーグ(JFL)に入会し、Jリーグ昇格を目指している「奈良クラブ」のホームゲーム観戦者のソーシャル・キャピタルを明らかにするために、2017年11月5日に奈良市鴻ノ池陸上競技場で実施されたゲームにおいて質問紙調査を実施した(有効回答:269票、有効回答率:93.4%)。なお、ソーシャル・キャピタルの指標として、信頼、つきあい、社会参加の指数、および結合型・橋渡し型指数を用いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の平成28年度は、奈良市を本拠地とする奈良クラブのホームゲーム観戦者への質問紙調査を実施するとともに、奈良市および奈良県が、バンビシャス奈良と奈良クラブに対して如何なる支援をしているのか、また両チームがどのような地域貢献活動を実施しているのかについて、ある程度明らかにすることができた。本年度は、その継続研究として、公共性の観点から、奈良クラブのホームゲーム観戦者のソーシャル・キャピタルについて質問紙調査をすることができたが、私的セクターの果たす役割については検討することができなかった。また、先進事例として松本山雅FCを取りあげ、関係者にインタビュー調査等を実施することはできたが、ホームゲームの観客へのアンケート調査は、受け入れ側の都合で実施することはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年の調査において、松本市が地元の松本山雅FCに対してどのような支援をしたのかが明らかとなった。ここで、松本市の地元チームへの支援が例外的なものであるのか、それとも他の地方自治体においても同様な支援がなされているのかという新たな課題が生じた。そこで、当初の研究計画にはなかったことであるが、その他のJリーグのチームがホームタウンとしてる地方自治体が、地元のチームに対して何を期待し、どのような支援をしているのかを、質問紙調査で明らかにする。 平成29年度に実施することができなかった松本山雅FCのホームゲーム観戦者に対する質問紙調査を実施したいので、再度、(株)松本山雅に実施許可を求めることとする。
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Causes of Carryover |
平成29年度は、松本山雅FCのホームゲーム観戦者に対する質問紙調査や、私的セクターであるスポンサー企業に対する調査を実施することができなかったので次年度使用額が生じた。 松本山雅FC以外のJリーグチームのホームタウンとなっている地方自治体が、チームに何を期待し、どのような支援をしているのかという新たな課題が生じた。これを明らかにするために、各地方自治体に対して質問紙調査を実施する。また、スポンサー企業に対する調査を実施する。
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Research Products
(1 results)