2016 Fiscal Year Research-status Report
長期間の抗酸化食摂取と骨格筋への機械的負荷がサルコペ二アに及ぼす影響
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16K01726
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
杉浦 崇夫 山口大学, 教育学部, 教授 (80136150)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 抗酸化食 / 機能的過負荷 / 筋タンパク質合成 / 筋タンパク質分解 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、抗酸化食であるアスタキサンチン(Ax)摂取に加え骨格筋への機能的過負荷(FO)を負荷することにより、サルコぺニアを抑制できるか否かについて、筋タンパク質合成と分解に関わる細胞内シグナル伝達系さらには成熟筋の肥大や筋再生に関与する筋衛星細胞の変化から検討するものである。平成28年度は、10週齢のWistar系雄ラットを40匹を用い、上述の処置が著しい筋肥大をもたらすか否かについて検討した。体重が等しくなるように対照群(Cont群)、Ax群、FO群、Ax+FO群の各群10匹ずつ群分けした。飼育期間は6ヶ月とし、Ax群、Ax+FO群には、抗酸化食としてAx0.04%含有粉末飼料を実験終了まで与えた。また、FO群、Ax+FO群には、10週齢時に腓腹筋の腱切除により足底筋(PLA)とヒラメ筋(SOL)へFOが加わるようにした。得られた結果は、以下のとおりである。 1.筋重量、相対筋重量は、FOを負荷したFO群、Ax+FO群ではCont群、Ax群と比較して両筋ともに有意に高い値を示したが、Ax摂取による筋肥大の相乗効果は認められなかった。 2.筋タンパク質合成に関わる情報伝達物質(Akt、mTOR、S6、eIF4E)のリン酸化率、筋タンパク質分解に関わる情報伝達物質(カテプシンL、カルパイン1・2、ユビキチン化タンパク質)ならびにアポトーシス促進因子(AIF、Bax、Caspase3)発現率は、両筋においてAx摂取およびFOの影響は認められなかった。 3.アポトーシス抑制因子であるBcl-2発現率は、PLAにおいてFO群、Ax+FO群はCont群、Ax群よりも有意に高い値を示したが、Ax摂取の影響は認められなかった。 以上の結果より、若齢ラットではFOによるアポトーシスの抑制効果が一部認められ筋肥大が起こったものの、Ax摂取による効果および筋肥大の相乗効果は認められないと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した測定項目についてはすべて実施し、データー分析は炎症反応を除き完了した。分析が終了した項目については、仮説通りの結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り平成29年度は、1年齢のラットについて、平成28年度と同じ方法で実験を行い、得られた結果について検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた試薬代が約30000円不足したが、予定していた旅費80000円を使用しなかったことで次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今回生じた次年度使用額を平成29年度予算に加え、消耗品(試薬代)に充て使用する。
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