2017 Fiscal Year Research-status Report
運動による抗うつ効果に脳内イノシンを介したBDNFの発現調節が関与するか否か
Project/Area Number |
16K01737
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
三上 俊夫 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60199966)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 不活動 / うつ病 / 運動 / イノシン / アデノシン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は不活動状態での長期飼育はマウスにうつ様行動を引き起こさせることを確認した.この結果を踏まえて, 平成29 年度はうつ様行動を発症しているマウスに定期的な運動を行わせ,運動負荷によりうつ様症状の改善がもたらさせるか否かについて検討した.実験動物は前年同様に8 週のC57BL/6J 雄マウスを用い,これらのマウスを通常ゲージ飼育群(10 匹),不活動飼育群(40 匹)の2 群に分け,各ケージで10 週間飼育した後に強制水泳試験, ショ糖選択性試験,オープンフィールド試験を行い不活動飼育マウスでうつ様行動が発症していることを確認した.その後,不活動飼育群を無作為に(1)低強度運動,(2)中強度運動,(3)高強度運動,(4)運動なしの4 群に分け, 運動群には1 日30 分,週3 回のトレッドミル走を5 週間行わせた.トレッドミル速度は低強度運動では10 m/分,中強度運動では20 m/分,高強度運動では25~30 m/分で行った.この間はマウスを6分割ケージからノーマルケージに移して飼育した.5 週間後にうつ様状態の測定のために再び強制水泳試験, ショ糖選択性試験,オープンフィールド試験を行った.これらの行動試験の結果,運動の有無及び運動強度の違いに関わらず,10週間の不活動飼育で生じたうつ様行動は5週間の通常飼育により改善する結果となった.この結果から,不活動由来のうつ様行動は不活動状態で起こる症状であり,通常飼育に戻すことにより改善し,通常飼育下での更なる運動の抗うつ効果を検証するには難しいことが示された.この結果を基に,平成29年度は不活動飼育によりうつ様行動を発症させた後も不活動飼育を継続した状態で運動の効果を検証する実験モデルで運動のうつ症状の改善効果とイノシンの関係を検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回, 不活動飼育で引き起こされたマウスのうつ様行動が, マウスを通常飼育に戻すだけで改善してしまい,今回の実験条件では運動によるうつ症状の改善効果を検討できないことが明らかになった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は, 不活動飼育によりうつ様行動を発症させた後も不活動飼育を継続した状態で運動を行わせる実験モデルを用いて運動のうつ症状の改善効果とイノシンの関係を検討する予定である.
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Causes of Carryover |
必要な消耗品の購入が当初の予定を下回ったため、次年度使用額が生じた。今年度に未使用の助成金は次年次に使用する予定である。
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