2018 Fiscal Year Research-status Report
運動による抗うつ効果に脳内イノシンを介したBDNFの発現調節が関与するか否か
Project/Area Number |
16K01737
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
三上 俊夫 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60199966)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 運動 / 不活動 / ストレス / うつ様症状 / 認知機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではうつ病治療における運動療法の有用性を確認すると共に,運動によりもたらされる抗うつ効果が,イノシンを介したアデノシン受容体の活性化と関係するか否かについて検討することを目的に研究を行った.平成28年度はマウスにうつ様症状を発症させる実験条件としてのマウス不活動飼育の有用性を検討した.その結果,自作の6 分割ケージで飼育してマウスの日常生活での身体活動量を低下させると,うつ様症状が発症することを強制水泳試験(FST)とショ糖選択性試験(SPT)で確認した.平成29年度は前述の不活動飼育条件で10週間マウスを飼育しマウスにうつ様症状を発症させた後,普通ケージに移して運動群と安静群に分け,運動群にはトレッドミルでの走運動を週3回負荷しながら4週間飼育し,4週間後に再度,うつ様症状の判定を行った.結果は,運動群も安静群いずれもうつ様症状が回復しており,不活動飼育によるうつ様症状は不活動飼育を中止することで回復し,この実験条件ではうつ症状改善に対する運動の効果を検討できないことが判明した.この結果を踏まえ,平成30年度は不活動飼育を行わせながら運動を行わせる条件で実験を行った.当初の予定では,運動群を低強度(トレッドミル速度10m/分),中強度(トレッドミル速度20m/分),高強度(トレッドミル速度30m/分)に分けて,各群30分間の運動を週3回行わせる予定であったが,不活動飼育によりマウスの身体能力が著しく低下しており,予定した速度での運動をマウスに行わせることが不可能であった.結局,低強度運動のみを行わせ, 20週間の不活動飼育後にうつ様症状を判定したところ,不活動飼育により引き起こされたうつ様症状が定期的な運動により改善する結果が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の研究計画では,不活動飼育によりうつ様症状を引き起こさせたマウスに定期的な運動を行わせることによりうつ様症状の改善がもたらされるか否かを検討する予定であった.しかし,実績の概要にも述べた様に,不活動飼育によりもたらされるうつ様症状は,不活動飼育を止めることで回復してしまい,この実験モデルでは運動の抗うつ効果を検証できなかった.その後,実験条件を変更して,不活動飼育と並行に低強度運動を行わせることにより,定期的な運動が不活動により生ずるうつ様症状を改善する結果が得られるに至った.しかし,当初は,行わせる運動も,低強度~高強度の運動強度の異なる運動の効果を検討する予定であったが,不活動飼育は予想よりはるかにマウスの身体運動能力の低下をもたらし,実際に行わせることの出来た運動は低強度の運動のみであった.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果より,不活動飼育によりマウスにうつ様症状がひきおこすことが可能で,不活動飼育と並行して低強度の運動を定期的に行わせることにより不活動由来のうつ様症状が改善されることを明らかにした.研究期間の延長を申請した今年度はこの実験条件を用いて,本研究の当初の目的である運動によるうつ様症状の改善における脳内イノシンとそれに関係するアデノシン受容体の働きについて検討する予定である.
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Causes of Carryover |
研究期間の延長を行った本年度は,これまでに確立されたマウスを不活動飼育させながら低強度の運動を行わせる実験モデルを用いて,不活動によるうつ様症状の改善に対する運動の抗うつ効果の作用機序を脳内アデノシン受容体の働きと関係させて解明する実験を行う予定である.この実験を行うためには実験動物,実験試薬,実験に用いる消耗品等が必要になるため,これらの購入経費の一部を補うために繰り越した研究費を使用する予定である.
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