2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K01754
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
藤本 浩一 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (10287815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千足 耕一 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (70289817)
山川 紘 東京海洋大学, 学内共同利用施設等, 客員教授 (80017061) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 海女 / 腰痛 / 鉛玉分散装着 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、平成28年度に引き続き具体的な鉛玉の分散装着について、海女の改善要望を反映した試作品の作成→実使用による評価というサイクルにて方法論の模索を行った。本年度は、頸部よりつり下げる形で2~3kgの鉛玉を装着し、これをウエットスーツの下に装着する方法を中心として検討を進めたものの、結果的に複数の海女集落よりコンセンサスを得る方法を決定することは出来なかった。この要因として、海女集落毎の漁場における海藻の繁殖状況や海底地形、ならびに漁獲対象物の資源量において大きな差異が存在し、このような各地区の条件的差異に起因する潜水漁形態の差異を包括的に解決することが非常に困難であったことが挙げられる。 また、海女の腰痛発症要因を明確にすべく、近年、職業性腰痛発症に関与することが示唆されている心理・社会的ストレス要因および個人的要因が、海女の腰痛発症にも影響を及ぼしているか否かに関する検討について、本年度は第6回日本海洋人間学会にて成果発表を行った。心理・社会的ストレス要因については、他業種と比較して低い値を示し、海女は一般的に重労働とみなされていることから、心理・社会的ストレスも高いことが予測されたものの、この予測と相反する傾向が得られた。個人的要因については、他業種の傾向と同じく、身体の柔軟性が低いものは腰痛の程度が高い傾向が得られた。さらに、上記の海女の腰痛発症要因については、三重県の鳥羽・志摩地方の海女にも、データおよび傾向、腰痛対策に関するフィードバックを、鳥羽市立海の博物館ならびに志摩市役所政策推進部里海推進室と協働して実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各海女集落よりコンセンサスを得た鉛玉分散装着方法の決定が、平成28・29年度の第1の達成目標であったが、あまりに各海女集落における漁業形態に差異があったため、コンセンサスの得た方法を決定することが出来なかった。しかしながら、海女の腰痛発症要因の明確化については、概ね達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
最大の懸案となっている鉛玉分散装着方法の決定であるが、平成28・29年度の2カ年を要しても決定できなかった為、装着方法に関する模索は本年度までで終了し、30・31年度は実証実験に移行することとする。実証実験に採用する鉛玉分散装着方法については、ヨーロッパ地中海沿岸の素潜り漁師が使用しているウエットスーツ生地で作成されたベストの中に板状の鉛を入れたものを、腰に装着した鉛玉と併用する方法を用いることとする。この方法において、実証実験への協力が可能である海女を募集したところ、三重県志摩市の波切地区、甲賀地区、志島地区の海女より協力可能である旨の返答を得ている。平成30年度は、分散装着を実施する介入群と分散装着を実施しない対照群の人選を行い、順調に進捗すれば平成30年度内に鉛玉分散装着における腰痛軽減効果の実証実験を開始する予定である。人選が順調に進捗しない場合は、平成31年度に実証実験を開始する。
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Causes of Carryover |
(理由) 本年度作成予定であった、ウエットスーツ腹部内部の鉛玉ポケット作成が計画変更によって未実施であったため。 (使用計画) ヨーロッパ地中海沿岸の素潜り漁師が使用している、ウエットスーツ生地で作成されたベストの中に板状の鉛を入れるものを輸入・購入する経費に充てる。
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Research Products
(2 results)