2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K01756
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
鈴江 毅 静岡大学, 教育学部, 教授 (70398030)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 健二 静岡大学, 教育学部, 特任教授 (80115451)
鎌塚 優子 静岡大学, 教育学部, 教授 (80616540)
矢野 潔子 静岡大学, 教育学部, 准教授 (80549163)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | がん教育 / 養護教諭 / 学校保健 / 健康教育 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.海外におけるがん教育の現状を明らかにし,養護教諭あるいは学校保健関係者の果たす役割について知見を得ることを目的として、2018年4月にダブリン(アイルランド)において、第32回国際産業保健学会に参加している各国の専門家への面接調査を行った。その結果、各国のがん教育の現状より,がん教育の多様性と重要性が認識され,教材・人材等の問題点も明らかとなった。これらの知見は原著論文「海外におけるがん教育の現状~養護教諭の役割について~」として刊行された。 2.がん教育関係の書籍・文献を入手し内容の検討を行った。また、がん教育に関する海外事情やがん教育および養護教諭に関係する学会の動向など、インターネット上の情報を収集した。また、第61回東海学校保健学会や、日本学校保健学会第62回学術大会において、がん教育と養護教諭に関する情報を収集し意見を交換した。それらの成果は書籍「養護教諭のための公衆衛生学 第6章主な疾病の予防」として刊行された。 3.2017年に行った静岡県内の養護教諭を対象としたがん教育と養護教諭に関するアンケート調査結果の解析を行った。その結果がん教育への関心・知識・必要性など、コーディネーターや外部講師の役割、研修会の重要性などに関して、重要な知見が得られた。 4.愛知県がんセンター中央病院にて、がん専門看護師、がん専門医らを対象として行った、がん教育の実態についての聞き取り調査の結果、がん専門医療関係者の「がん教育」に対する認識が得られた。これらの成果は原著論文「がん専門医療関係者が語るがん教育に対する認識」として刊行された。 5.がん経験者や保護者への聞き取りに関して、国内外の対がん協会やがん体験者の会などに連絡をとり、協力者の獲得調整を行った。また教員への聞き取りに関しては、静岡県内の複数の学校において協力を要請した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.海外での取材については、2018年4月にダブリン(アイルランド)で開催された第32回国際産業衛生会議に参加し、情報収集及び情報交換を行った。それ以外の世界各地の多くの国のがん教育および養護教諭の情報に関しては、対象とする米国、ヨーロッパ、アジアの各国の状況およびコーディネーターへの連絡などを、取材に先行して情報を収集していたため、実施が遅れている。次年度に米国も含め数か国に渡航して聞き取り調査を行う。また、がん教育あるいは養護教諭に関係した国際学会に参加することを検討中である。 2.2017年に行った静岡県内の養護教諭を対象としたがん教育と養護教諭に関するアンケート調査結果の解析が遅れていたが、現在はほぼ終了している。その結果がん教育への関心・知識・必要性など、コーディネーターや外部講師の役割、研修会の重要性などに関して、重要な知見が得られた。 3.児童生徒の保護者やがん経験者・がん患者の家族会等へのインタビューについては、協力者が少ないため、取材対象の選定に時間がかかっているため遅れている。教員への聞き取り調査に関しても協力者の選定を行っている段階である。またできるだけ広範囲にわたって調査を行う予定であり、調整に時間がかかっている。その他の協力機関への連絡が不十分であり、調査が遅れている。 4.成果の発表については、愛知県がんセンター中央病院におけるがん専門看護師とがん専門医師への聞き取り調査に関しては原著論文として刊行した。また海外におけるがん教育の現状についても原著論文として刊行した。国内外の情報収集から、がん教育に関する書籍を刊行した。養護教諭を対象としたがん教育と養護教諭の関連についてのアンケートによる調査研究についてはまとめ終わり、現在投稿中である。その他にも複数の論文・資料を作成中であり、完成後に投稿をする学術雑誌を選定中であるため遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.海外での取材については、2019年7月にストックホルム(スウェーデン王国)にて開催されるSchool Nurses International Conference 2019(国際スクールナース学会)に参加し、メンタルヘルス、がん治療などに関する一般演題やシンポジウムに参加し、世界各地のがん教育および養護教諭の情報を収集する。 2.がん教育関係の書籍・文献を入手し内容の検討を引き続き行う。また、がん教育に関する海外事情やがん教育および養護教諭に関係する学会の動向など、インターネット上の情報を収集し、がん教育に関する最新の情報をまとめる。また、2019年9月の第62回東海学校保健学会や、2019年11月の日本学校保健学会第62回学術大会などに参加し、がん教育と養護教諭に関する情報を一般演題などから収集し、発表者や参加者と意見を交換する。 3.がん経験者などへのインタビュー調査は早急に対象者を選定し実施する。静岡県対がん協会、あけぼの静岡(乳がん経験者やその家族)、ほほえみの会(小児がん患者及び小児がん経験者の親)、オリーブの会(全国のがん患者・経験者団体のNPO法人)などの団体に協力依頼する。また、静岡県内の小学校・中学校へ協力依頼を行い、教員および児童生徒の保護者への聞き取りを行う。 4.調査研究結果については、収集した情報に関して綿密なデータ処理を施し、研究方法を駆使して、早急にまとめあげ、発表原稿や学術雑誌への投稿原稿を完成させる。発表学会としては、日本学校保健学会や東海学校保健学会などを予定している。投稿先としては、「東海学校保健研究」「地域環境保健福祉研究」などを予定している。
|
Causes of Carryover |
大学内の教育や研究が多忙であり、加えて大学院の新開設に伴い、業務が拡大したため、十分な取材、調査研究、成果発信ができなかった。また研究期間内に関連する国際学会が開催されなかったなどの理由で事業が遅れている。その結果、次年度使用額が生じた。研究分担者についても同様な事情で、当初の計画が遅延しており、次年度使用額が生じた。
今後の使用計画としては、まず海外での取材については、2019年7月に国際スクールナース学会)に参加し、世界各地のがん教育および養護教諭の情報を収集する。また、がん教育関係の書籍・文献を入手し内容の検討を引き続き行う。さらに、2019年9月の第62回東海学校保健学会や、2019年11月の日本学校保健学会第62回学術大会などに参加し、がん教育と養護教諭に関する情報を一般演題などから収集する。一方、がん経験者などへのインタビュー調査は早急に対象者を選定し実施する。静岡県内の小学校・中学校へ協力依頼を行い、教員および児童生徒の保護者への聞き取りを行う。調査研究結果について、日本学校保健学会や東海学校保健学会で発表する。投稿先としては、「東海学校保健研究」「地域環境保健福祉研究」などを予定している。
|