2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K01763
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
井福 裕俊 熊本大学, 教育学部, 教授 (70193638)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 立位姿勢 / 重心動揺 / 筋力 / 閉目足踏み / 第二次性徴 |
Outline of Annual Research Achievements |
児童生徒の姿勢の乱れは学校現場にとって解決すべき重要な課題である。本年度は昨年度に引き続き、第二次性徴にある子どもの立位姿勢や重心動揺の実態を明らかにするために、対象者を増やし、姿勢やからだのバランスの乱れの要因を筋力と柔軟性の観点から調べた。また、学校現場で手軽に行える「からだのバランスをチェックする方法」と「バランスの乱れを解消する方法」の開発・検証を行った。 対象は小学5年生84名、小学6年生171名、中学1年生166名、中学2年生107名、中学3年生105名の計633名であり、測定項目は昨年度と同様、両脚立位および片脚立位重心動揺の総軌跡長、股関節内転・外転筋力、筋力テスト(片脚スクワット、立ち上がりテスト、プランステスト(新規))、柔軟性テスト(ディープスクワット、肩関節柔軟性テスト)、利き脚テストであった。結果は昨年度とほぼ同様であり、第二次性徴における学年進行に伴う重心動揺の短縮は、柔軟性よりも筋力の影響が強いことが示唆された。 一方、「からだのバランスをチェックする方法」として「閉目足踏み」を20秒間行ったところ、ほぼ全員が右前(310名)か左前(301名)へ移動し、その移動距離は50.7±26.0cmであった。そして、「バランスの乱れを解消する方法」として、左右どちらかのこわばっている体側へストレッチングを20秒×2セット施すと「閉目足踏み」時の移動距離や移動方向が改善した。しかしながら、これらの結果と、昨年度購入したPeek a bodyによって測定した骨盤や肩の高さの左右差との関連はみられなかった。 さらに、学校教育活動での長期的・継続的な指導による立位姿勢の改善のために、体幹トレーニングや静的ストレッチングを組み合わせた教室でも実施できるメニューを考案し、その動画をDVD化して配布し、小学校1校、中学校1校で試行したところ、改善効果が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した『研究目的」は、1.学校現場で手軽に行える「からだのバランスをチェックする方法」と「バランスの乱れを解消する方法」の開発・検証と、2.学校教育活動での長期的・継続的な指導による立位姿勢の改善 であった。 本年度はまず、昨年度の熊本地震により調査できなかったK市の2校で調査を実施し、データの追加を行った。次に、「からだのバランスをチェックする方法」として「閉目足踏み」を600名以上の児童生徒に実施した。検証にはもう少し時間が必要であるが、第二次性徴にある児童生徒の「からだのバランス」の実態を掴むことができた。さらに、学校教育活動での長期的・継続的な指導による立位姿勢の改善のために、体幹トレーニングや静的ストレッチングを組み合わせた教室でも実施できるメニューを考案し、その動画をDVD化して配布し、小学校1校、中学校1校で試行し、改善効果を確認した。 以上より、本年度の進捗状況は、「おおむね順調に進展している」と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、「からだのバランスをチェックする方法」としての「閉目足踏み」の妥当性を検証する。また、バランスの乱れの解消法としては、からだの歪みが筋の緊張(こわばり)と伸長(ゆるみ)によって引き起こされることから、こわばり筋にはストレッチングを、ゆるみ筋には筋力トレーニングを施す様なメニューを考案・実施し、その効果を検証する。特に本年度、左右のバランスの乱れを解消するために、こわばった体側の筋へストレッチングを試行したところ改善が見られたので、今後はその改善効果をデータで検証する。さらに、児童生徒に良い姿勢を獲得させるために、授業中1回の姿勢指導と静的ストレッチングおよび体幹トレーニングからなる姿勢教育を半年~3年間行い、その効果を検証する。現在のところ、研究計画の変更は考えていない。
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Causes of Carryover |
(理由) 本年度は、支払請求額700,000円に対し支出額は703,058円とほぼ計画通り支出しているので、次年度使用額が生じた理由は、前年度に生じた次年度使用額(234,240円)を完全に使用できなかったことによる。 (使用計画) 立位姿勢と足圧分布との関連を調べるために、足圧分布を簡単に測定できる「SRソフトビジョン」を購入したい。その他は、計画通り使用する予定である。
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Research Products
(2 results)