2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K01763
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
井福 裕俊 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (70193638)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 立位姿勢 / 体幹筋力 / 体のバランス / 閉目足踏み / 第二次性徴 |
Outline of Annual Research Achievements |
児童生徒の姿勢の乱れは、学校現場にとって解決すべき重要な課題である。本年度は、学校教育活動での長期的・継続的な指導による立位姿勢の改善のために、姿勢教育を2校の小学校で半年~1年間実施した。また、「からだのバランスをチェックする方法」としての「閉目足踏み」の妥当性を検証した。 学校教育活動の中での姿勢教育の柱は、授業中の姿勢指導と静的ストレッチングおよび体幹トレーニングであった。体幹トレーニングや静的ストレッチングを組み合わせた教室でも実施できるメニューを考案し、その動画をDVD化して配布し、小学校2校でそれらを実施した。半年間の姿勢教育を実施した1校で効果判定を行ったところ、両脚立位および片脚立位重心動揺の総軌跡長の短縮と股関節外転筋力の向上が見られた。このことから、筋力向上により体のぶれが少ない安定した姿勢が獲得されたことが示唆された。もう1校は一年間の姿勢教育を実施しているため、効果判定は来年度となる。 「からだのバランスをチェックする方法」として、健常な若年成人10名(男性6名、女性4名)に「閉目足踏み」を20秒間行わせたところ、5名が右前へ残り5名が左前へ移動し、その移動距離は80.0±17.7cmであった。これらの結果と、一昨年度購入したPeek a bodyによって測定した骨盤や肩の下がりや左右のずれとの関連をみたところ、仙骨のずれと左右の移動距離(絶対値)との間に有意な正の相関が見られた(r=0.660)。このことから、閉目足踏みにおける総移動距離は仙骨の左右のずれを反映する可能性が示唆された。さらに、「バランスの乱れを解消する方法」として、体側のストレッチングを20秒×2セット施すと「閉目足踏み」時の移動距離が61.9±18.9cmと有意に改善したことから、左右のバランスの乱れを解消するには体側のストレッチングが有効であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「平成30年度の研究実施計画」では、「良い姿勢を獲得させるために、学校の教育活動のなかで1~3年間の長期的・継続的な指導を行う」としていた。本年度は2校の小学校に協力していただき、半年間の姿勢教育を実施した1校で改善効果を確認した。(もう1校は一年間の姿勢教育を実施しているため、成果発表は来年度となる。) 以上より、本年度の進捗状況は、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、現在進行している小学校での姿勢教育の効果を検証する。また、「からだのバランスをチェックする方法」としての「閉目足踏み」の妥当性をより確実にするために、さらに被験者を増やし、骨盤や肩の下がりや左右のずれとの関連を検証する。そして、来年度は最終年度となるため、これまで計測したデータをまとめ、小学校高学年と中学生に分けて年代毎の特徴を明らかにし、総括を行う。現在のところ、研究計画の変更は考えていない。
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Causes of Carryover |
(理由) 本年度は、支払請求額200,000円に対し支出額は175,272円とほぼ計画通り支出しているので、次年度使用額が生じた理由は、前年度未使用額(227,362円)を完全に使用できなかったことによる。 (使用計画) データ解析用のコンピュータが古く、特に動画解析に支障をきたしているので、新しいパソコンを購入したい。その他は、計画通り使用する予定である。
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