2016 Fiscal Year Research-status Report
異なる歩行スタイルによるノルディックウォーキングの運動強度とトレーニング効果
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16K01764
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
藤田 英二 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 准教授 (50506300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹島 伸生 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (00137126)
竹田 正樹 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (00278459)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Nordic walking / Diagonal style / Defensive style / エネルギー消費量 / 筋活動水準 / 運動効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
中高齢者の健康づくり運動として、ポールを使用するノルディックウォーキング(Nordic walking: NW)が広く普及してきている。NWは、ポールを身体後方に突いて推進力として利用するDiagonal style(DAI)と、ポールを身体前方に突いて杖のように利用するDefensive style(DEF)の大きく2つの様式に分けられる。DAIは、体力増進のためのエクササイズとして、多くの先行研究でその有効性が示されているが、身体的な虚弱者に対しリハビリテーションの手法として実施されることの多いDEFに焦点を当てた研究報告は少ない。本研究は、DAIおよびDEF双方の運動効果を明らかにし、様々な体力レベルの人々に対して健康づくりの運動手法とするためのエビデンスを示すことを目的とした。 平成28年度は、地域在住の中高齢者12名を対象に、DIA、DEFの両歩行様式におけるNWをそれぞれ12分間ずつ行わせ、生理応答(VO2・エネルギー消費量・HR)、およびEMGによる上肢(上腕二頭筋・上腕三頭筋)・下肢(外側広筋・大腿二頭筋・前脛骨筋・腓腹筋内側頭)の筋活動水準、ポールを押す際に加わる力(ポーリング力)について検証した。 結果、12分間の歩行距離はDIAのほうがDEFよりも有意に多かった。エネルギー消費量はDEFがDIAよりも有意に高かった。心拍予備量に対する運動強度は、両者間に有意差はみられなかった。筋活動水準は、上肢の上腕三頭筋のみ有意差が見られ、DIAがDEFよりも有意に高かった。ポーリング力はDIAがDEFよりも有意に高かった。DIAとDEFの、異なる歩行様式によるNWは、歩行距離、エネルギー消費量、上肢の一部の筋活動、ポーリング力において差異が認められたが、実際の運動効果において大きな差につながるほどではなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、「DAIおよびDEF双方の運動効果を明らかにし、様々な体力レベルの人々に対して健康づくりの運動手法とするためのエビデンスを示すこと」を目的としている。本年度は、地域在住の中高齢者を対象に、携帯型の呼気ガス分析器や筋電図測定装置を用いて、屋外における実際のNW運動時でのデータを取得した。その結果、実験室内で行われた先行研究と大きな差異は認められなかった。特にDEFに焦点を当てた研究報告は少なく、屋外で実際の運動時におけるデータで比較したのは本研究以外みあたらない。本研究により得られた知見は、少なくとも自立した生活を送っている地域在住の中高齢者に対して、DIAおよびDEFの運動効果には差がないことを示しており、中高齢者の健康づくりに対する運動処方のエビデンスとして、有意義な知見であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の結果において、わずか(有意差がない程度)ではあるがDIAとDEFにおけるNW運動時の生理応答などに差異がみられた。平成29年度では、このことを踏まえ、実際に運動介入を行った際に、両者の運動効果に差がないかどうかについて確認を行う予定である。また、DIAおよびDEFの特徴をより明らかにし、それぞれの運動様式に推奨される対象はどのような人々であるのかを明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
予算の使用はおおむね予定通りに執行されているが、次年度使用額が生じた理由として、予備実験において被験者の謝礼金が一部不要(受け取りを辞退)であったことがあげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度予定している介入実験の被験者謝礼金および消耗品の購入に充てる予定である。
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