2016 Fiscal Year Research-status Report
診療放射線検査に係る健診機関等での事故対策および被ばく線量の適正管理に関する研究
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16K01765
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
高橋 康幸 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (40404925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉野 雅人 群馬県立県民健康科学大学, 診療放射線学部, 准教授 (10249229)
五十嵐 博 群馬県立県民健康科学大学, 診療放射線学部, 准教授 (60433166)
米持 圭太 群馬県立県民健康科学大学, 診療放射線学部, 助教 (90759606)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 応用健康科学 / 安全推進・安全教育 / 診療放射線技師 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年5月に巡回健診にて実施した胃部エックス線の集団検診中に受診者の一人が透視台から滑落し死亡した重大な事例から、検診車における安全対策や被ばく線量の管理方法をアンケート(質問調査用紙)式により調査した。 対象は、検診車を有する全国の健診機関で90施設とし、調査内容は所有する検診車(胸部、腹部、X線CT、乳房など)について、現在の腹部(胃部)撮影業務について(従事される人数や具体的な安全対策など)、最近のインシデント事例について(発生時の詳細な状況など)、被ばく線量の管理方法について(自動露出機構の運用など)、また医療監視における指摘事項などである。 回収率は45%(40施設: 有効回答39施設)であった。所有する検診車は、胸部(平均5台、0~20台)、胃(腹)部(平均4台、0~17台)、乳房、X線CT、胸腹部、骨密度などである。腹部(胃部)撮影業務について、①撮影に関する業務は1人で対応する(31施設)、②腹部(胃部)検診における安全対策については、日本消化器がん検診学会による徹底事項を遵守している(23施設)、③昨年度におけるヒヤリハット事例については腹部(16施設)で、バリウム誤嚥(6件)、昇降台の踏み外し(4件)がそれぞれ多い傾向であった。また、被ばく線量の管理方法については、自動露出機構の使用(36施設)が多く、検診車への医療監視の実施(9施設)や撮影担当者の各種学会への参加状況(37施設)なども回答を得た。 病院における安全対策や被ばく線量の管理状況は、医療監視などにより不具合が指摘できるが、巡回検診(検診車)ではそれらがほとんど実施されず、指導・改善する機会がないのが現状である。 これらは、「巡回健診のX線撮影業務における安全管理について」として、第32回日本診療放射線技師総合学術大会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所属機関が変更になったが、研究については引き続き良好な協力が得られ順調に進捗している。研究成果については、計画どおり検診車における安全対策や被ばく線量の管理方法を調査報告し、また医療被ばく線量の測定および低減方法については血管撮影に関し論文が掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
医療被ばく線量の測定および低減方法について、感受性が高い臓器の水晶体や副作用が発生しやすい臓器の皮膚を優先に実施している。今後は、新しい線量計「Dシャトル」を利用し継時的被ばく線量の測定解析を実施したい。
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Causes of Carryover |
職場の異動により研究を一部実施できなかったため、平成28年度に購入予定であった測定機器・解析ソフト等を導入できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額および平成29年度研究費については、そのほとんどを測定協力施設との打ち合わせ、実施および解析に利用する。また、一部については関連学会等に参加し、法や指針などの最新情報を取り入れた内容に対応する。
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