2017 Fiscal Year Research-status Report
住民主体による高齢者の地域活動促進プログラムの健康増進及び介護予防への長期効果
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16K01770
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
芳賀 博 桜美林大学, 自然科学系, 教授 (00132902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 裕人 東北文化学園大学, 健康社会システム研究科, 教授 (40415493)
佐藤 美由紀 神奈川工科大学, 看護学部, 准教授 (80550318)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アクションリサーチ / 住民主体 / 地域活動 / 介護予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成22年に介入地区において地域高齢者の役割を見直した結果、6つの地域活動が住民主体により開始され,平成29年時点では10の住民主体の活動が実施されている。 (1)追跡調査結果の分析と結果報告会:60歳以上を対象に調査を実施した。追跡調査は204人(68.2%)から回答が得られた。地区高齢者全体の7年間の変化を分析した。初回時(平成22年)と比較して地域活動への参加が増えたと感じている者は介入地区で29.6%、対照地区で8.5%と介入地区が有意に多かった。介入地区において初回時と比較して参加割合が有意に増加していたのは、地域の交流活動(初回28.6%→追跡44.2%)、健康・体力づくりのボランティア活動(初回3.6%→追跡16.5%)であった。健康状態では、社会的役割が介入地区では初回2.94点→追跡2.93点、対照地区では初回3.22点→追跡2.89点であった。有意差はなかったものの、介入地区において機能低下が抑制されている傾向が伺えた。調査結果報告会は、9月24日に介入地区、11月18日に対照地区において実施した。 (2)介入地区において住民主体による地域活動のリーダー6人ならびに活動への参加者5人のそれぞれのグループに対して、11月19日にグループインタビューを実施した。主体的な地域活動の効果として、【知り合いの増加】【住民情報の共有】【世代間交流】【日常生活での子供とのあいさつ】【地域問題の解決力】を感じていた。負の影響としてリーダーは【批判】【見守られる人の心理的負担感】などを感じていた。課題として【ゆるやかな活動】【子供のボランティア活動への参加】【自立死をささえる地域づくり】が抽出された。リーダーは地域活動の活性化と住民からの批判に対して苦悩している様子が伺えた。リーダーや参加者だけでなく一般住民も巻き込み、今後の地域活動の方向性について話し合う場が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に予定した、追跡調査の分析及び地域活動のプロセス評価及び介護保険データ分析のための準備をほぼ遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
住民主体による地域活動が健康増進・介護予防に及ぼした効果評価の分析を行うとともに、平成28~29年度に行ったデータ収集・分析結果と併せて最終報告書にまとめる。 1.介護保険データの分析(5~9月):担当(吉田) 1)資料並びにデータの収集 2)介護保険統計、介護保険事業報告等の既存資料分析:A市(当該市)と近隣自治体・北海道・全国の要介護率の比較 3)介入地区と対照地区の要介護率、要介護認定新規発生率の推移の比較 2.総合評価及び報告書の作成(10月~3月):担当(芳賀、吉田、佐藤) 平成28~30年に行った量的調査、質的調査、関連資料等の分析から明らかにされた結果をトライアンギュレーションし、住民主体による高齢者の地域活動促進プログラムを総合的に吟味し、報告書を作成する。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査後の逐語録の分析を研究者のみで行ったために謝金の支払いが生じなかったことが主な理由である。 次年度は、報告書作成に向けてアンケート調査及びインタビュー調査により得られたデータ分析をさらに相互連関的に進める必要があり、30年度分と合わせて支出する予定である。
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