2016 Fiscal Year Research-status Report
日本とフィンランドにおける発達障がい児の生活リズム作りのための健康増進要因の解析
Project/Area Number |
16K01784
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Research Institution | Kyushu Lutheran College |
Principal Investigator |
高野 美雪 九州ルーテル学院大学, 人文学部, 准教授 (40433031)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヘルスプロモーション / 生活リズム / 睡眠 / 発達障がい児 / 疲労 / 予防 / 健康増進 / フィンランド |
Outline of Annual Research Achievements |
フィンランドでは、学習成績においてOECDによる学力テスト(PISA)が2000年に開始されて以来、好成績維持が報告されている。また、効果的な教育実践研究報告や多様な価値観を受け入れる教育観がある。いじめに対する防止プログラムも普及し、支援教育に対する評価も高い。しかし、睡眠実態については、研究報告がみられるものの生活リズムや疲労、ヘルスプロモーションにおける本格的な学術研究は報告されていない。フィンランドにおいて就学前の子育て支援対応は充実しているが、学童期以降の生活リズムの予防教育については個々の教育現場で個々の教師によって実施されており、予防モデルとして構築されていない現状がある。日本においては、発達障がいに対する支援教育は進展しつつあるが、生活リズムに着目した検証報告はまだ少ない。 本研究では、日本とフィンランドにおける発達障がい児の生活リズム作りに必要な要因について解析を行い、双方の国における生活リズム作りのポイントを明確化し、健康増進のための予防モデルを構築することが目的である。平成28年度は、日本とフィンランドにおける発達障がい児の生活リズムおよび健康教育、行政等に関する情報収集を行った。フィンランドでは、教育現場における参与観察を行い、教員、保護者へのインタビュー調査、懇談を通して学校教育における生活リズム形成に要する課題を検討した。一方、日本では、近年教育現場で睡眠を中心とした生活リズムに対する関心が高まっている。文献資料による情報収集、さらに教員、保護者へのインタビュー調査を行い、データ収集を進めた。インタビュー調査から、日本とフィンランドの発達障がい児の生活リズムの予防実践に必要な健康増進要因には、生活リズムに関する睡眠・疲労を中心とした生活習慣と環境実態の相違があることが確認され、問題抽出が重要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は、インタビュー調査および文献資料等による情報収集を進めており、睡眠、疲労を調査するインタビュー調査から、日本とフィンランドの発達障がい児の生活リズムの予防実践に必要な健康増進要因には、生活リズムに関する睡眠・疲労を中心とした生活習慣と環境実態の問題抽出が重要であることが確認できた。フィンランドにおける質問紙調査は、調査対象の教育機関が属する自治体に対し依頼申請を行う必要があり、申請後、昨年度末になり許可が出た。そのため、質問紙調査については、平成29年度に予定している。質問紙調査が予定より遅れているため、研究達成度は「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、日本とフィンランドにおいて、インタビュー調査および文献資料等による情報収集を行う。今年度、双方の地域での質問紙調査実施に向け、準備を進める。併せて、インタビュー調査対象者リクルートを募り、ルート拡大を図る。
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Causes of Carryover |
昨年度は、質問紙調査が未実施のため、解析ソフト購入、調査実施現地における謝金、質問紙整理のための研究支援者の雇用を見送っている。東アジアヘルスプロモーション会議が昨年度および今年度は開催されないことが交付後決定し、海外学会参加のための渡航費は未使用である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度使用計画としては、調査実施現地における謝金、質問紙整理のための研究支援者の雇用を予定している。フィンランド、日本での調査対象地域拡大を検討中であり、旅費として使用することを予定している。
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