2016 Fiscal Year Research-status Report
高圧空気カプセルによる心身の健康効果に関する臨床研究
Project/Area Number |
16K01803
|
Research Institution | Tenri Health Care University |
Principal Investigator |
櫻井 進 天理医療大学, 医療学部, 教授 (50375515)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 光紀 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (80333384)
寺田 和史 天理大学, 体育学部, 准教授 (40454798) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | Hyper Baric Air Therapy / 乳酸測定 / 運動負荷 / 疲労軽減 / サイトカイン / 感覚機能検査 / 高圧空気カプセル |
Outline of Annual Research Achievements |
高圧空気カプセルによる疲労軽減効果の評価にあたり、①高圧空気カプセルの選定を行った。その際の基準は、高い最高圧(真カプセル)を維持でき、かつ対照圧(偽カプセル)を調整できることとした。②真および偽カプセルにおける1回あたりの実施時間は民間で実施されている一般的な時間に準拠することとした。③運動処方として真または偽カプセルでの運動負荷量を同一にすることおよび乳酸値が高値になる条件設定を検討した。④乳酸値測定キットを選択し再現性に関する項目もあわせて確認した。⑤運動方法および乳酸値測定キットが決定した時点で測定間隔の検討を行った。⑥運動後の乳酸値測定を終了する基準を決定した。⑦運動中および運動後に被験者モニターする方法について確認した。⑧平常状態から真カプセルを継続実施した場合の乳酸値変動が安定するまでの継続期間(効果発現までの期間)、および真カプセルを中止後に平常状態に戻るまでの時間(効果消失までの期間)を検証した。⑨疲労に関するバイオマーカーの選定を行った。⑩その他の関連する感覚機能検査を検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これらの条件を満たす高圧空気カプセルは、1.50気圧を維持でき偽カプセルとして容易に圧調整できるノースパラマ社製オルカを選定し真偽カプセル条件の統一を行った。②真カプセルは1.50気圧70分、偽カプセルは1.05気圧70分とした。③体重の7.5-8.0%相当の負荷強度にてエルゴメータ30秒(50サイクル)とし、実施中の最高心拍数をあらかじめ算出し、年齢別最高心拍数の75%になるように個々の対象者において負荷強度を調整し実施した。④乳酸測定キットLactate Pro2を選定し、穿刺後20μL出血させ拭ったのち再度20μL出血させた検体を用いた。⑤乳酸値測定間隔は運動開始後1.3.5.7.9.11.13分とした。⑥運動後に心拍が安静かつ乳酸値が最大値の1/√2以下になることを確認し終了した。⑦運動開始時から終了まで心電図測定を行った。⑧効果発現し安定するまでの期間は3日以上であった。効果消失までの期間は2週間以上であった。⑨本研究で実施するバイオマーカー項目を、IL-4、IL-6、IFN-γ、TNF-α、血中チオレドキシン、高感度CRP、血中コルチゾールとした。⑩各種感覚機能検査(視覚、味覚、嗅覚、触角、視標反応時間など)を実施した。 今年度は上記の方法により非アスリート集団13名についてデータを収集した。アスリート集団は次年度以降に実施する予定とした。乳酸値、サイトカインなどの測定系は欠損データはない。ただし、サイトカインの一部項目は検出限度以下が散発し再検査中である。主観的疲労度指標などのアンケート系も欠損データはない。海外研究者との共同研究については、打ち合わせ準備が終わっていて今後日程調整する予定である。これらのことから、本研究はおおむね順調に進展していると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
非アスリート集団は前年度と同様に研究を進めることにする。アスリート集団は準備が出来次第開始する。サイトカインの一部項目は検出限界以下の対象が多く2群比較が困難になる可能性があり必要に応じて項目などを見直すこととする。海外研究者との共同研究については再度日程調整する予定である。本研究は、常圧と弱高圧環境の相違を研究するものであるが、弱低圧環境での各種感覚機能検査についても調査を拡大する予定である。覚醒-睡眠等モニタリングの実施に比べて、より有効性が高いと想定される1クール内での主観的な相違点を聞き取ることを重視し推進する方針である。
|
Causes of Carryover |
平成28年度末に予定していた研究調査のための出張が、次年度にまたがった。このため、前年度に予定していた使用額が次年度に移動したために発生した事案である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
単なる出張費用の移動であり、次年度の使用額および研究計画に変更を生じる事案にならない。
|