2016 Fiscal Year Research-status Report
10大死因の都道府県別年齢・時代・世代特性の把握と健康施策への活用に関する研究
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16K01809
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Research Institution | University of Tokyo Health Sciences |
Principal Investigator |
三輪 のり子 東京医療学院大学, 保健医療学部, 教授 (10377244)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 保健健康情報 / 年齢・時代・世代効果 / 健康施策 / 健康推進活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、我が国の10大死因について都道府県別の年齢・時代・世代特性を抽出し、それを基盤として、健康施策・健康推進活動の策定に有用な情報を導出する方法の研究開発を行うことである。ベイズ型Age-Period-Cohortモデルの開発者である中村隆教授(統計数理研究所)を連携研究者として迎えて実施している。 平成28年度(初年度)の目標は、47都道府県における10大死因の年齢・時代・世代特性を明らかにすることであり、①データ収集・解析用データベースの作成、②47都道府県の主要死因の死亡動向に対する変動要因と各効果の数量的検討を行った。 ①については、データ入手の可能性および死因分類の変遷の観点から、改めて分析期間を精査することから始めた。沖縄県の米国占領下時代における死亡データは、沖縄県担当部署の協力を得て所在を確認し、所蔵館より1960年、1965年、1970年分を印刷物で得ることができた。また、10大死因の一部(腎不全、慢性閉塞性肺疾患、肝疾患)は、死因分類の変遷あるいはデータ形式上の問題により、入手が困難であることが判明した。これらの状況を踏まえ、本研究においては基本的に1960~2015年を分析期間とし、得られるデータに限りがある死因は分析可能な期間とすることとした。 ②では、現在までにデータを入手できた死因についてAge-Period-Cohortモデル分析を行い、年齢・時代・世代効果の有無および各々の大きさの推定を進めた。1995年のICD10、死亡診断書ルールの変更に伴う見かけ上の変動については、必要に応じて統計モデルで対処した。 その他、並行して、次年度に向けて、地域格差の視点から評価するための新しい指標(「時代効果」を用いたジニ係数)についても検討を行った。その有用性について、日本公衆衛生学会および統計数理研究所共通公開研究集会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
次年度における課題の検討に資する新しい地域格差指標を開発した点については、当初の計画以上に進展していると評価できる。しかし、当該年度の目標の達成状況でみると、データの入手が困難であることが判明した一部の死因および沖縄県については、データベースの作成や分析の準備を行っている段階である。以上を勘案すると、やや遅れているとの自己評価が妥当である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に開発した地域格差指標も活用し、次年度は「年齢・時代・世代特性の視点から、主要死因の男女差・地域格差・地域性をみる」ことを目標とする。得られた結果について中間報告書(都道府県別のダイジェスト版)を作成し、47都道府県・20政令市(健康増進課)及び地方衛生研究所に情報を発信する。合わせて、各都道府県における年齢・時代・世代特性の背景に関わる、地域独自の取組みや生活環境の変化について情報を得ることを目的とした質問紙調査も実施する。これら双方の面で実質的な成果を上げることを目指す。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、研究補助者に協力を得る予定であったデータ入力や資料整理を代表者自身で行ったこと、Webページの作成開始まで至らなかったことにより、「人件費・謝金」の支出が無く、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、研究の進捗状況から研究補助者の協力が必須となるため、「人件費・謝金」は予定通り使用する。但し、Webページの作成について適任者がいない場合は、業者委託に変更し、その分を「その他」に充当する予定である。また、連携研究者とともに国内・国際学会において3件の成果発表を予定しており、「旅費」「その他(参加登録費)」の支出が当初の計画よりも増えることが予想されるため、次年度使用額での支出によってバランスを取る予定である。
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Research Products
(2 results)