2017 Fiscal Year Research-status Report
自律神経を介した代謝調節の加齢・肥満による変化の解析
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16K01815
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
木村 久美 金沢大学, 新学術創成研究機構, 特任助教 (60409472)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肝糖代謝 / 迷走神経 / 中枢インスリン作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経(視床下部)が、自律神経を介して、肝臓の糖・エネルギー代謝を調節する仕組みの解明が進められている。研究代表者も、中枢神経インスリン作用による自律神経性の肝臓糖代謝調節のメカニズムの解明を行ってきた(業績6/9;Diabetes, 2012/2013)。肥満や加齢では生活習慣病が増加するが、その病因として、中枢神経インスリン抵抗性の関与が指摘されている。しかし、肥満や加齢によって、自律神経性の肝臓糖・エネルギー代謝調節がどのような影響を受け、その結果、生活習慣病(糖尿病・脂質異常症)の病態にどのように作用するかについては、解明されていない。加齢・肥満における生活習慣病の病態理解を深め、新規予防法の開発へと繋げるために、本研究課題では、自律神経を介した肝臓代謝調節の加齢・肥満による変化の解明を行う。 これまでに、迷走神経の活動を抑制/活性化するDreaddマウスを作出した。まず、マウスの評価のため、神経活動を測定した。迷走神経活性化マウスでは、Dreaddの特異的アゴニスト薬剤であるclozapine-N-oxide(CNO)の投与直後から神経活動が上昇し、1時間後には有意差を持って神経活動の上昇が認められた。一方、迷走神経活動を抑制型マウスでも、CNO投与直後から神経活動の低下が見られ、10分後から有意な抑制を認めた。これらのマウスにおいて、迷走神経活動と膵内分泌の解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、自律神経を介した肝臓代謝調節の加齢・肥満による変化の解明を行う。具体的には、1)自律神経を介した肝臓代謝調節の生理的重要性の解明、2)自律神経を介した肝臓代謝調節の肥満における変化の解析、3)自律神経を介した肝臓代謝調節の加齢における変化の解析の小課題を実施する。これまでに、迷走神経活動を抑制するマウスでは、神経活動の低下に一致し、インスリン分泌が抑制される一方、迷走神経活動を活性化するマウスでは、神経活動の活性化と一致し、インスリン分泌が急性的に増加することが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度は1)自律神経を介した肝臓代謝調節の生理的重要性の解明するに当たり、臓糖脂質・エネルギー代謝における交感神経の作用メカニズムを検討する為に、交感神経α・β作用の阻害薬(プラゾシンまたはプロプラノロール)を用い、糖脂質・エネルギー代謝解析を行う。A7nAchR欠損マウスの糖脂質・エネルギー代謝の解析を行うとともに、肝臓代謝と密接に関与する可能性が指摘される交感神経β作用の解析に供するアドレナリンβ1/2/3のすべての受容体を欠損したβレスマウスの作出および、コロニーの拡充を行う。これらの解析を通し、交感神経・副交感神経の食事・運動後の肝臓糖脂質・エネルギー代謝への役割を検討する。 2)自律神経を介した肝臓代謝調節の肥満における変化の解析については、高脂肪食負荷マウスを用いて、自律神経切除・遮断モデル、または交感神経α・β作用の阻害薬投与モデルを作成し、糖脂質・エネルギー代謝解析を行う。また、A7nAchR欠損マウスに対し、高脂肪食負荷を行い、同様の解析を行う。 3)自律神経を介した肝臓代謝調節の加齢における変化の解析には、加齢マウス(12か月齢)に対し、脳室内インスリン・ブドウ糖・アミノ酸投与後の肝交感神経活動・肝副交感神経活動を測定し、肥満の自律神経活動への影響を検討する。
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