2018 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of stress on mitochondrial function and immune responses
Project/Area Number |
16K01817
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笠原 恵美子 大阪大学, 薬学研究科, 寄附講座講師 (30468269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関山 敦生 大阪大学, 薬学研究科, 寄附講座教授 (30403702)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ストレス負荷 / ミトコンドリア / UCP2 / グルココルチコイド / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
過度の精神的・肉体的ストレス負荷は免疫機能を低下させて感染リスクを高めることや、身体の活動能力に影響を及ぼすことが報告されている。我々は、拘束ストレスを負荷したマウスにおける自然免疫応答能の低下について、ミトコンドリア(Mit)を介するサイトカイン産生能の制御機構を検討してきた。一方でMitはエネルギー代謝にも重要な役割を担っているため、Mitの機能変化は身体の活動能にも影響を及ぼす。本年度は、ストレス負荷マウスにおける自発運動量の低下や持久運動能の低下において、マクロファージのMitの関与を検討した。ストレスを負荷したマウスでは、コントロールマウスと比較して自発運動量の低下と持久運動能の低下が観察された。自発運動量の低下はコルヒチンの低用量投与(白血球の遊走を抑制)、およびカルニチンの投与(Mitの長鎖脂肪酸に対する保護作用)により改善された。また、ストレス負荷マウスにおいては、ヒトのミトコンドリア病との関与が報告されているGDF-15 (growth/differentiation factor 15)の血中濃度が高値を示し、GDF15の濃度はストレス負荷に対して感受性が高かったマウスにおいて、より高濃度の傾向を示した。更に、これらのストレス負荷マウスにおける自発運動量の低下において、マクロファージのミトコンドリアUCP2(uncoupling protein 2)の発現上昇とそれに伴うMit呼吸能の低下が関与している可能性を検討した。マクロファージ特異的にUCP2 mRNAの発現を抑制すると、ストレス負荷による免疫応答能の低下は軽減されたが、自発運動量の低下に対する改善作用は認められなかった。 これらの結果より、過度のストレス負荷による自発運動量や持久運動能低下において、Mit機能の変化が関与していることが示唆されたが、Mit UCP2の直接的な関与は認められなかった。
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