2016 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の運動・移動障害発症の予知因子としての歩数の有用性に関する研究
Project/Area Number |
16K01825
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
吉武 裕 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 教授 (00136334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 秀夫 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00157629)
吉田 剛一郎 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 准教授 (10274870)
山本 直史 愛媛大学, 社会共創学部, 准教授 (40552386)
東恩納 玲代 名桜大学, 健康科学部, 准教授 (60710225)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歩数 / 死亡率 / 身体活動 / 高齢者 / 運動・移動能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、70歳から90歳までの20年間の長期縦断的調査により、高齢者の運動・移動能力(mobility)障害発症および死に至るまでの歩数、体力および健康指標を調査し、運動・移動能力障害発症および死亡の予知因子としての歩数の有用性について明らかにすることである。今年度は歩数と死亡率の関係について検討した。対象者は介護を要しない地域在住の高齢者である。対象者は、対象地域の70歳高齢者4542名に対し、質問紙を送付し、その中から600名をランダムに抽出した。今回の調査においては、対象者は歩数と体力測定のデータがそろっている419名(男性:228名,女性:191名)で、平均年齢は71歳であった。本年度はまず男女を一緒に歩数と総死亡の関係について検討した。平均追跡年数は9.8年(1~11年)であり、対象者の75%は11年追跡できた。歩数は、春、夏、秋、冬にそれぞれ1週間測定し、その平均値を代表値とした。なお、対象者の歩数は調査期間中継続的に測定された。追跡期間中に76名(男性:60名、女性:16名)が死亡した。対象者を歩数の水準により、4群(Ⅰ群:4503歩/日未満、Ⅱ群:4503~6110歩/日、Ⅲ群:6111~7971歩/日、Ⅳ群:7972歩/日以上)に分けた。歩数と総死亡率の間には有意な直線関係は認められなかった。一方、Ⅰ群とⅡ群、Ⅲ群およびⅣ群の総死亡率の有意差検定を行った結果、Ⅰ群とⅣ群の間に有意差が認められた。以上の結果から、歩数が8000~9000歩/日以上になると、歩数が多いものほど死亡率が低いことが明らかになった。このことは、歩数は死亡の有用な指標になることを示唆している。特に、本研究は日本人を対象とした、初めての研究である。なお、これらの研究成果については現在論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、運動・移動障害の重要な指標の一つである歩数と総死亡率の関係について検討した。その結果、歩数が9000歩/日以上になると、死亡率の有意に低下することが認められた。 1)まず体力測定への参加状況であるが、対象者の年齢が高くなってきたので、体調不良などでにより、調査への不参加、測定項目の減少がみられるようになってきた。また、測定項目の中でも開眼片足立ちの測定に多くの時間を要するようになってきた。 2)歩数の調査においては、毎日歩数計を装着し、記録できる者の割合が低下してきている。また、外出頻度が少なくなったとの理由から装着しない者の割合も増加している。 3)健康状況調査については、調査用紙を前もって配布しているが、視力の低下により、質問項目の文字が見えにくく、内容が理解できない等の問題が生じている。以上のことについては、対象者の家族の協力も得ながら改善する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、体力(下肢筋力、開眼片足立ち、10 m歩行テスト、ステッピングなど)と死亡率の関係を検討する予定である。また、調査については下記のような問題が生じているので、これらについて改善する予定である。 1)本研究の対象者の中には体力測定ができない者、測定を拒否する者、参加を拒否する者が増加しているので、対象者の減少が予想される。2)特に、生活・健康状況調査において記入漏れなどが増加しているので、質問項目の文字を大きくする予定である。また、質問項目についての対象者の理解不足を防ぐために、対象者の家族の協力がさらに得られるように、対象者の家族に対しても一層の協力をお願いする。
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Causes of Carryover |
本年度は対象者の地域ごとに調査会場を設置し体力測定や健康調査を実施する予定であったが、対象者の問題や会場の条件等で実施できなかった。そのため旅費の使用が予定より少なくなったためである。また、測定機器の修理・改善費用や歩数計の購入費用が発生しなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費:次年度は対象者の居住地域ごとに調査を実施することになり、当初の研究計画より多くの健診会場を設置するため、旅費が増大する予定である。また、国内、国外の学会への参加を予定しているので、そのための旅費および参加費用に使用予定である。 物品費、その他:体力測定機器は20年以上にわたって継続的に使用しているため、修理が発生する可能性がある。特に、ステッピング測定機器の修理・改善の費用が見込まれる。また、歩数計は使用中の落下、水没等により破損することから、歩数計を購入する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] Daily step count and all-cause mortality in Japanese elderly people: A cohort study.2016
Author(s)
Naofumi Yamamoto, Hiroshi Nagayama, Mieko Shimada, Naoki Nakagawa, Susumu S, Sawada, Mamoru Nishimuta, Yasuo Kimura, Hidenori Asai, Hideo Miyazaki, I-M Lee, Steve N Blair, Yutaka Yoshitake.
Organizer
ACSM 63th Annual Meeting,
Place of Presentation
Boston, MA,(USA)
Year and Date
2016-06-02
Int'l Joint Research