2017 Fiscal Year Research-status Report
GADD34によるシグナル伝達系抑制と老化関連疾患の制御の解析
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16K01827
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
西尾 尚美 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (80513457)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Insulin/IGF1レセプターシグナル伝達系 / GADD34 / 脂質合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も昨年度に引き続き,GADD34がインスリンレセプターからのシグナル伝達系を制御している可能性を検索するために,若齢マウス(2,5ヶ月齢)と老化マウス(6,10,12ヶ月齢)の肝臓細胞をin vitroで培養し,インスリンやグルコースで刺激をした後,Insulin/IGF1レセプターのシグナル伝達系の解析を行った。さらに、インスリンシグナル伝達系に関連して、脂質合成のシグナル伝達系についての検討を行った。 これまでの研究では,GADD34遺伝子欠損(KO)マウスでは5カ月齢より若い時は,Insulin/IGF1レセプターのシグナル伝達系のAkt2のリン酸化が亢進しており,6カ月齢を過ぎた老化マウスでは低下していることが明らかとなっていた。このことがGADD34遺伝子欠損(KO)マウスの肥満や脂肪肝に関与していると考えてきた。本研究ではさらに、脂質合成の律速酵素であるACCのリン酸化について検討を行ったところ、GADD34遺伝子欠損(KO)マウスのMEFsや肝臓細胞ではACCのリン酸化が低下していることをWesternで確認した。このことから、GADD34遺伝子欠損(KO)マウスのMEFsや肝臓細胞では脂質合成が促進されていることが明らかとなった。 ACCのリン酸化はAMPKによって制御されていることが報告されており、Insulin/IGF1レセプターのシグナル伝達系がAMPKに作用するメカニズムは明確でなく、GADD34がInsulin/IGF1レセプターのシグナル伝達系を抑制し、AMPKからACCのシグナル伝達系を介して脂肪酸合成を促進している可能性に加えて、ACCのリン酸化に直接関与している可能性が示唆された。 以上のことから、本研究ではGADD34が脂質合成系を制御していることが明らかとなった。そのメカニズムについては現在も検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
肝細胞を用いた研究については,概ね,計画通りに遂行され,WTマウスとGADD34KOマウスの加齢によるシグナル伝達系の変化やGADD34KOマウスで脂質合成系の促進については新たなデーターを得ることができ、メカニズムの解明は進んでいる。 しかし,免疫沈降によるGADD34の機能部位の解析では,研究が大幅に遅れている。HEK293細胞に, FlagやMycのタグ付きGADD34ベクターを導入し,GADD34を強発現させて,Insulin/IGF1レセプターのリン酸化が抑制されていることをWesternで確認した。ここまでは予定通りに進んでいたが,本研究の要であるInsulin/IGF1レセプターシグナル伝達系のレセプターのTyr1162/1163のリン酸化抗体は昨年度搬入されずに使うことができなかったが、2017年4月に搬入されたため、Westernによって抗体の検討を行ったところ、抗体の反応制度が悪く、新たな別の抗体の検索を行なわなければならなくなった。従って,免疫沈降による実験がうまくいっておらず、研究計画が全体的に遅れてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
Insulin/IGF1レセプターのTyr1162/1163のリン酸化抗体について、これまで購入していたものとは別の抗体を購入したので、本年度に作成してストックしてある,インスリン刺激やグルコース刺激をしたGADD34強発現HEK293細胞のサンプルを用いて,Insulin/IGF1レセプターのシグナル伝達系をWesternで解析する。また,免疫染色を用いて,GADD34(Flag or Myc),Insulin/IGF1レセプターのリン酸化,Caveolinなどのタンパク質の発現部位を確認すると同時に,これらのタンパク質とGADD34タンパクの結合を確認するために,FlagやMycを使って免疫沈降を行い,結合してくるタンパク質を検索する。 GADD34がインスリンシグナル伝達系のどの部位に関与するかを明らかにした後、老化に伴うインスリンシグナル伝達系の逆転メカニズムを詳細に研究する。検討内容は、①GADD34KOマウスでの炎症性サイトカイン(TNF-α)の産生亢進の可能性の検討,②GADD34KOマウスでの脂肪酸合成の亢進に関する検討,③GADD34KOマウスの細胞老化に関する検討,を行う予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度、抗体搬入が6ヶ月以上遅れたことによって研究が停滞したため、現在もなお6ヶ月以上の研究の遅れが生じた状態である。従って、昨年度使用予定の経費が使われずに残り、昨年度の経費を本年度使用したため、本年度の経費が残ってしまった。遅れた分の研究内容は次年度繰越とな流と同時に経費も次年度へ繰り越すこととなった。 2016年度の遅れによって2017年度行う予定であった実験の解析費用として2018年度に使用する。昨年度の解析によって、新たに脂質合成の解析の必要性が生じたため、脂質合成解析のための試薬の購入、実験経費として使用する。 また、失敗した免疫沈降による結合タンパクの同定実験において、新たな検索方法を模索した結果、この研究計画に必要である試薬、抗体、免疫沈降のためのキットを新たに購入するための経費として使用する。
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Research Products
(3 results)