2018 Fiscal Year Research-status Report
GADD34によるシグナル伝達系抑制と老化関連疾患の制御の解析
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16K01827
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
西尾 尚美 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (80513457)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | GADD34 / Insulin/IGF1レセプターシグナル伝達系 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も昨年度に引き続き,GADD34がインスリンレセプターからのシグナル伝達系を制御している可能性を検索するために,若齢マウス(2,5ヶ月齢)と老化マウス(6,10,12ヶ月齢)の肝臓細胞やMEF細胞をin vitroで培養し,インスリンやグルコースで刺激をした後,Insulin/IGF1レセプターのシグナル伝達系の解析を行った。また,GADD34の機能部位を特定するために,免疫沈降による結合タンパクの検索も行った。 これまでの研究で,GADD34はInsulin/IGF1レセプターやGCSFレセプターのシグナル伝達系の上流,レセプター付近で関与している可能が示唆されている。私たちはGADD34が細胞膜細胞膜あるいはその付近で機能している可能性を考えており,本年度は,GADD34やInsulin/IGF1レセプターに加えて,膜タンパクであるCaveolinやCavin1(PTRF)で免疫染色した肝細胞を共焦点顕微鏡によって観察した。加えて電子顕微鏡での観察も行い,GADD34 KOマウスとWTマウスの各年齢(3,6,10,12ヶ月齢)の比較検討を行った。CaveolinやCavin1 (PTRF)の免疫染色では,GADD34 KOマウスとWTマウスで発現量が異なることが観察され,電子顕微鏡の観察結果からGADD34 KOマウスでは,細胞の膜構造に加えてミトコンドリアやクロマチンの加齢による著しい変化が認められた。 以上のことから,本研究ではGADD34が膜構造に何らかの関与をしていることが示唆され,その詳細をさらに検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
マウスや肝細胞,MEFs細胞を用いた研究については,概ね計画通りに遂行され,WTマウスとGADD34KOマウスの加齢によるシグナル伝達系の変化やGADD34KOマウスで脂質合成系の促進に加えて,細胞構造の観察なども行い,メカニズムの解明を進めている。 しかし免疫沈降によるGADD34の機能部位の解析では,研究が大幅に遅れている。HEK293細胞に FlagやMycのタグ付きGADD34ベクターを導入し,GADD34を強発現させて,Insulin/IGF1レセプターのリン酸化が抑制されていることまではWesternで確認したが,その後,新しく購入した抗体のQualityが悪く,免疫沈降がうまく行えなかった。そこで,別のターゲットタンパクを検討して新たに免疫沈降を行うこととしたため,GADD34の機能部位に関する研究に遅延が生じてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで検討を行っていたInsulin/IGF1レセプターのTyr1162/1163のリン酸化抗体ではなく、IRの抗体を用いての免疫沈降を予定している。また、免疫染色を用いて,GADD34(Flag or Myc),Insulin/IGF1レセプターのリン酸化,Caveolinなどのタンパク質の発現部位を確認すると同時に,これらのタンパク質とGADD34タンパクの結合を確認するために,FlagやMycを使って免疫沈降を行い,結合してくるタンパク質を検索し,GADD34がインスリンシグナル伝達系のどの部位に関与するかを明らかにする予定である。 さらに,マイクロアレイによる遺伝子発現解析を行い,各年齢 (3,6, 10ヶ月齢)のGADD34 KOマウスとWTマウスの肝臓における遺伝子発現を解析し,インスリンシグナル伝達系,脂質合成系,細胞構造などに関与する遺伝子の発現差を検索し,その結果からGADD34の機能に関する検討を行う。
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Causes of Carryover |
2016年度に作成依頼をしたTyr1162/1163のリン酸化抗体の搬入が6ヶ月以上遅延したため、研究全体が6ヶ月以上遅延した。2017年4月に搬入されたので、Westernによって抗体の検討を行ったところ、抗体の反応制度が悪く、新たな別の抗体の検索を行うなどの予定外の作業が追加されたことで、研究計画が全体的に1年分遅れてしまっている。従って次年度に研究を延長し、それに伴って研究に必要な使用経費が必要となった。 また、研究推進に伴いさらに必要な解析(マイクロアレイ)の為の使用経費も必要となっている。
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Research Products
(1 results)