2016 Fiscal Year Research-status Report
βアミノイソ酪酸は、がん病態に対する新規抑制因子となりうるか?
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16K01829
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Research Institution | Ibaraki Christian University |
Principal Investigator |
深津 佳世子 (佐々木) 茨城キリスト教大学, 生活科学部, 准教授 (70338903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 浩明 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (40344890)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アミノ酸 / がん / 補完代替療法 / 培養細胞 / 玄米菜食 / MCF-7 / βアミノイソ酪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多くのがん患者に利用されている食事療法における科学的根拠の一端を明らかにすることである。厳格な玄米菜食を継続する患者11名の血中・尿中成分について調べたところ、11名中10名に健常者ではほとんど検出されないβアミノイソ酪酸(BAIBA)が高濃度で検出された。この時、普通の生活を送る健常者6名中に検出された者はいなかった。ところが、運動習慣のある健常者(スポーツクラブに週3日程度通う者およびヨガインストラクター)4名においては4名とも検出された。
このBAIBAを培養ヒト乳がん細胞MCF-7および培養ヒト正常乳腺上皮細胞に様々な濃度で添加したところ、BAIBAは正常ヒト乳腺上皮細胞の増殖には影響を及ぼさず、ヒト乳がん細胞には増殖抑制効果を示すことが分かった。厳格な玄米菜食を行うがん患者の血中濃度レベルのBAIBA添加で、明らかな効果を見いだした。
また、BAIBAを添加したMCF-7と無添加MCF-7においてマイクロアレイを行い、62980種類の遺伝子について発現の検討を行った。現在解析中であるが、非常に興味深く新規性の高い成果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における臨床研究部分を行うための倫理審査は、前年度までの倫理委員会の判断とは異なり、当年度、既に承認済みの内容の計画変更で承認されるとされていた迅速審査が認められず新規申請となり、半年かけても不承認であった。承認済みの通常採血方法を軽度侵襲に変更した微量採血法による倫理審査は不承認であったため、当年度の結果は通常採血方法によるものであり、当初予定よりも例数を集めることができなかった。 しかし、本研究は基礎研究部分を中心に順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、茨城キリスト教大学において新規の倫理審査申請が承認されないため、今後は臨床研究から得た成果をきっかけとして、基礎研究中心に進展させていく予定である。マイクロアレイの結果により得られた興味深い成果より、mRNAおよびタンパク発現の変化を検討し、新規な成果を公表したい。またAMPKの関与についても検討したい。
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Causes of Carryover |
消耗品金額の差額が生じた。残金では研究に当座必要な消耗品を購入することができなかったため、次年度使用額とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残金12,625円は次年度研究費と合わせて細胞培養液の購入に充てる。
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