2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K01833
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
三田 智也 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90532557)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オートファジー / 血管平滑筋 / 動脈硬化 / 大動脈瘤 / プラーク破綻 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は既にプラーク破裂をきたす血管狭窄モデルの作成するための技術の習得に成功している。具体的には、マウスの頸部を切開し、右総頚動脈を露出し、直径150µmの針金を総頸動脈にそわせる。針金と血管をまとめて6-0ナイロン縫合糸で、分岐部の手前とそこから近位に3mmの部位で2カ所を結紮する。針金をふき取り縫合糸のみを残すことにより血管狭窄モデルが作成できる。このモデルマウスに高コレステロール食を負荷することによりプラーク病変を有する動脈硬化層が形成される。この技術を応用し、平滑筋特異的ATG7欠損・apoE欠損マウスとコントロールapoE欠損(ATG7KOapoE、Control)の血管狭窄モデルを作製した。結果としては、術後5週後の血管狭窄部位での出血は、平滑筋特異的ATG7欠損・apoE欠損マウスでは、14匹中12匹、コントロールapoE欠損では14匹中3匹と 平滑筋特異的ATG7欠損・apoE欠損マウスで有意に増加していた。従って、平滑筋細胞のオートファジーは、プラークの破綻に保護的に働いている可能性がある。また、血管狭窄モデルのapoEマウスにmTOR阻害薬であるラパログを投与し、オートファジーを誘導させた際に、プラークの破綻が抑制できるかを検討する。動脈硬化における血管平滑筋細胞のオートファジーの新たな分子機構を発見することで、オートファジーをターゲットとした新しい動脈硬化抑制薬の開発につながる可能性があり、臨床上も極めて意義の高い研究になると自負しており、今後も実験を継続していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血管狭窄モデルに関しては順調に進んでいる。 人員不足もあり、AngII誘導性大動脈瘤モデルにおける血管平滑筋細胞のオートファジーの役割に関しては十分に進んでいない面もあるが、概ね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平滑筋細胞のオートファジーは、プラークの破綻に保護的に働いている可能性が見出されたため、今後は、このメカニズムに関しては詳細に検討していきたい。まず、in vivoで。動脈硬化層のネクローシス、fibrous capの厚さ、脂肪沈着、コラーゲン線維、マクロファージ数などをHE染色や免疫染色等で比較検討する。平滑筋細胞のオートファジーは平滑筋細胞のアポトーシスに対して保護的に働いている可能性がある。実際に、初代培養されたATGKOとWTの血管平滑筋細胞を用いて、通常のFCS培養下において細胞死を細胞死検出キットで測定したところ、WTに比較して、ATGKOの平滑筋細胞では、細胞死が亢進していた。また、電子顕微鏡では、ATGKOで膨化したミトコンドリアなど形態異常が確認できた。オートファジーの機能不全により異常ミトコンドリアの除去が行われず、細胞内に異常ミトコンドリアが蓄積し、そこからの活性酸素種(ROS)の産生亢進が引き起こされ、細胞死を増加させるという報告がある((Wu. JJ et al. Aging 2009 425-437)。ATGKOとWTの血管平滑筋細胞の細胞内のROSをIntracellular ROSアッセイキットで測定する。また、抗酸化剤であるNAC(N-アセチル-L-システイン)を投与して、WTおよびATGKOの平滑筋細胞の細胞数や細胞内ROSを定量評価する。さらに、ROSによるDNA損傷が細胞死の経路に関連すると考えられるため、P53の活性やリン酸化、アポトーシスに関わるシグナルをウエスタンブロット法などで検討していく。
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