2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K01833
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
三田 智也 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90532557)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オートファジー / 血管平滑筋細胞 / 動脈硬化 / 動脈瘤 / プラーク破綻 |
Outline of Annual Research Achievements |
Atg7f/fマウスにSM22-Cretgマウスを交配し血管平滑筋特異的Atg7欠損マウス(SM22-Cre;Atg7f/f)を作製した。次に、SM22-Cre;Atg7f/fマウスとapoE欠損マウスを交配させ、平滑筋滑筋特異的Atg7欠損・apoE欠損マウスとコントロールapoE欠損(以下ATGKO、WT)を作製した。本年度は、初代培養されたSM22-Cre;Atg7f/fマウスとコントロール(Atg7f/f)の血管平滑筋細胞を用いて、動脈硬化の過程で増加する酸化コレステロールを負荷して血管平滑筋のアポトーシスにおけるオートファジーの役割を検討した。酸化コレステロールを負荷するとコントロールに比較してSM22-Cre;Atg7f/fマウスの平滑筋細胞では、p53経路の活性化により、アポトーシスが増加し、細胞の老化も亢進していた。このような老化が亢進したSM22-Cre;Atg7f/fマウスの平滑筋細胞では、MCP-1の発現が増加し、動脈硬化促進的に働いていることが明らかとなった。10週令のATGKOとWTに血管狭窄術を施行した。術後、5週間、高脂肪食で飼育し、右頸動脈を摘出した。術後5週の右総頸動脈では、管腔内狭窄率はKOマウスの方が増加していた。さらに、KOマウスにのみ血栓の形成を認めた。ベルリン青染色陽性であった数は、KOマウスで有意に多かった。この病変は、プラーク内出血によるものと考えられた。本研究の結果、血管平滑筋細胞のオートファジーの機能低下はプラークの不安定性に関与していることが明らかになった。 これらの研究成果は、血管平滑筋細胞のオートファジーをターゲットとした新しい動脈硬化抑制薬の開発につながる可能性があり、今後も研究を継続していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①血管平滑筋細胞のオートファジー機能不全による細胞死の増加の機序の解明②プラーク破綻に対する平滑筋細胞オートファジーの役割に関する検討のプロジェクトに関しては、順調に進んでいる。 ③アンギオテンシンII(AngII)誘導性大動脈瘤モデルにおける血管平滑筋細胞のオートファジーの役割に関しては、人員不足もあり、やや進行が遅れている。今後、新たに大学院生が研究に参加する予定であり、研究を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
ATGKOapoEでは動脈硬化の進展と一部大動脈瘤の形成や破裂が認められた。しかしながら、平滑筋細胞のオートファジーがどのように動脈瘤形成に影響を与えるかは十分に明らかにしていない。そこで、ヒトの動脈瘤に近いAngII誘導性大動脈瘤モデルで、血管平滑筋細胞のオートファジーの大動脈瘤形成における役割を検討することとした。10週令の雄のATG7KOapoEとControlに浸透圧ポンプを用い、皮下よりAngII 1,000ng/kg/minを4週間持続投与した。今後は、大動脈瘤の径を測定し、その性状をエラスチカンワンギーソン染色等で検討する。また、マクロファージやマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-9などを免疫染色で評価する。TUNEL染色でアポトーシス細胞数を比較検討する。 AngII誘導性大動脈瘤モデルにmTOR阻害薬であるラパログを投与し、オートファジーを誘導させた場合に、動脈瘤の発症を抑制できるかを検討する。
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