2016 Fiscal Year Research-status Report
体質と環境のミスマッチが生じる糖尿病発症の機構解明による先制医療の実現
Project/Area Number |
16K01834
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高 ひかり 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60338374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加賀 直子 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80338342)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / 2型糖尿病 / キャピラリー電気泳動質量分析 / DOHaD仮説 |
Outline of Annual Research Achievements |
[研究目的] 糖尿病に代表される生活習慣病と関係する遺伝子の働きを調節するメカニズムの多くは、受精時、胎児期から生後1年くらいまでの間に決まる。胎児や新生児期に低栄養環境におかれるとこれらの児は倹約型体質となり、成長後に種々の疾病発症リスクが高くなる。倹約型体質を持った児が成長後に富栄養環境におかれると体質と環境のミスマッチが生じ、それが引き金となって生活習慣病(成人病)などの病気を発症する(DOHaD仮説:Developmental Origins of Health and Disease)。大規模疫学調査により出生体重の低下は心疾患、二型糖尿病、高血圧、メタボリック症候群、神経発達障害のリスク増加を誘導する事が明らかになってきた。そこで、生活習慣病のリスクファクター化合物を同定し、リスク因子を持つ子供達に対し成人になる前に代謝・栄養状態が逸脱した状態を判定し、疾病の予防、治療に役立てる事を目的とする。 [研究実施] 通常食自由摂餌母ラットと低糖質カロリー制限母ラットに出産当日からは同じ通常食を与え、その母乳で育った出生仔の血清を用い各群の1週齢仔の血清をメタノール/クロロホルムで処理した。水層(極性低分子代謝物)を限外ろ過フィルターで処理後、キャピラリー電気泳動/質量分析計(CE/MS)で測定し、約110種の標準物質をもとに変動解析を行った。その結果、有意に差のある26の代謝物質が同定できた。次に、この26代謝物の変化のパターンを生物学的に解釈するために、Metabolite Set Enrichment Analysis(MSEA)ツールを用いて解析した。その結果、有意差のあった代謝物と関連する疾患として心不全などの心疾患、統合失調症などの神経障害、若年発症成人型糖尿病、インシュリン非依存性糖尿病などが挙がってきた。この結果はDOHaD仮説を裏付ける結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はモデルラットとして、通常食自由摂餌母ラットと低糖質カロリー制限母ラットに出産当日からは同じ通常食を与え、その母乳で育った出生仔を作製し血清をクロロホルム/メタノールで処理した。水層(水溶性・イオン性物質)を限外ろ過フィルター(UltrafreeMC-PLHCC)で濾過後、濾液を乾固した。調製したサンプルは測定直前に時間補正用内部標準液入りの水で再溶解し、CE/MSで分析した。その結果、DOHaD仮説を裏付けるような興味深い代謝物の変動が観察された。しかし、今年度予定していた高脂肪食を負荷したラット仔群と標準食ラット仔群の比較分析はまだ終了していない。そのため計画はやや遅れ気味であるが次年度には追いつく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
DDNAメチル化低下のようなエピジェネティックな変化は環境要因によって誘導されるため、生後高メチルドナー食の摂取などで一部改善されることが報告されている。そこで、低出生体重ラット仔への出生後授乳期に母乳を介したメチルドナー補充を行い、生じた血中極性代謝物の変動を解析する。低栄養母から生まれた仔で有意に差異のあった26代謝物がメチルドナー補充によりどのように変化するか。通常食母から生まれた仔との差異がなくなるのか。メチルドナー補充が生活習慣病(成人病)予防につながる可能性があるのか検討する。更に、妊娠中にカロリー摂取制限した母ラットからの仔と通常食摂餌母ラットからの出生仔にそれぞれ高脂肪食を負荷したラット仔群と出生後標準食を負荷したラット仔群を作製し、これらの血中極性代謝物について変動解析を行う。通常食低栄養で有意差のあった26代謝物が、高脂肪食負荷によりどのように変動するかを血糖値と関連付けて解析し、2型糖尿病に起因するメタボリック症候群のリスクファクター化合物になるかどうか確認する。また耐糖能異常やインスリン抵抗性などの病態では脂質代謝の変動を示唆する代謝物が報告されている。そこで脂質代謝物についても解析を進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は 異なった。研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、予定通りの計画を進めていく。本研究を申請するに当たり計上した研究費については、前処理や分析に使用する消耗品を主体とした経費が大部分を占めている。今年度は予定していたより検体数が少なく、前処理や分析に使用する消耗品にかかる経費が少なくなった。そのため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
[予算配分]1.質量分析にかけるためのサンプル前処理消耗品代(フィルター、有機溶媒、標準物質等)として約70万2.質量分析にかかる消耗品代(カラム、アニオン・カチオンバッファー、シース液、キャピラリー、コネクター、ネブライザー等)として約90万3.一般的な消耗品(チップ、ガラス器具等)として約20万4.国内学会参加のための旅費、参加費として約25万を予定している。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Amino-group carrier-protein-mediated secondary metabolite biosynthesis in Streptomyces.2016
Author(s)
Hasebe F, Matsuda K, Shiraishi T, Futamura Y, Nakano T, Tomita T, Ishigami K, Taka H, Mineki R, Fujimura T, Osada H, Kuzuyama T, Nishiyama M.
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Journal Title
Nat Chem Biol.
Volume: 12
Pages: 967-972
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Differential remodelling of peroxisome function underpins the environmental and metabolic adaptability of diplonemids and kinetoplastids.2016
Author(s)
Morales J, Hashimoto M, Williams TA , Hirawake-Mogi H , Makiuchi T , Tsubouchi A , Kaga N , Taka H , Fujimura T , Koike M , Mita T , Bringaud F ,Concepcion JL, Hashimoto T , Embley TM , Nara T
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Journal Title
Proc Biol Sci.
Volume: 283
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Relation between insulin sensitivity and metabolic abnormalities in Japanese men with BMI of 23-25 kg/m2.2016
Author(s)
Takeno K, Tamura Y, Kawaguchi M, Kakehi S, Watanabe T, Funayama T, Furukawa Y, Kaga H, Yamamoto R, Kim M, Nishitani-Yokoyama M, Shimada K, Daida H, Aoki S, Taka H, Fujimura T, Sawada SS, Giacca A, Kanazawa A, Fujitani Y, Kawamori R, Watada H.
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Journal Title
J Clin Endocrinol Metab.
Volume: 101
Pages: 3676-3684
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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