2016 Fiscal Year Research-status Report
骨髄間葉系幹細胞の多分化能を応用した再生血管の耐圧・耐久化と骨髄脂肪変性の予防
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16K01836
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
加藤 洋一 順天堂大学, 医学部, 教授 (00231259)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 骨髄間質細胞 / 平滑筋前駆細胞 / 再生血管 / T型Caチャネル阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
虚血性心疾患に対する冠動脈バイパス術や、血液透析患者のアクセスサイトに対する必要性から、動脈圧に耐える再生血管が待ち望まれている。線維芽細胞をcell sourceとして作製した再生血管ではelastinやcollagen産生の不足から動脈瘤が形成されることが報告されており、分化誘導した平滑筋細胞を用いることの優位性が提唱されている。 そこで本研究の目的は、 I. 先行研究で確立したcell-sorting法を用いて、骨髄間質由来の間葉系幹細胞から平滑筋細胞を分化誘導し、動脈圧に耐え得る再生血管を作製すること、II. 骨髄間質の脂肪細胞置換が特に高齢者の病的骨折発症に重要であることに鑑み、間葉系幹細胞から脂肪細胞への分化を抑制して骨の脆弱化を防止、III. 同メカニズムを利用して再生血管の石灰化による変性を防止し、臨床応用を目指す。そこで今年度は、骨髄間質由来の間葉系幹細胞から平滑筋細胞を分化誘導し動脈圧に耐え得る再生血管を作製するために、骨髄由来平滑筋前駆細胞の単離および平滑筋細胞分化誘導を行い、大容量の平滑筋細胞を得ることを目指した。まず、ヒト腸骨より骨髄穿刺により単離した骨髄間質細胞に、平滑筋細胞特異的に発現するヒトSM22α遺伝子のプロモーターをGFPに連結したconstruct(Kashiwakura, Katoh et al, Circulation 2003; Hashimoto, Katoh et al, J Stem Cell Res Ther 2015)をtransfectionした。GFP陽性細胞である骨髄由来平滑筋前駆細胞をフローサイトメトリーで分離した後に培養を行った。先行研究で得られたように、T型Ca2+チャネル阻害薬(mibefradil)処理により、骨髄由来平滑筋細胞数が増加する結果に基づき、分離培養した骨髄由来平滑筋前駆細胞にT型Ca2+チャネル阻害薬であるmibefradilを作用させることにより大容量の平滑筋細胞の分化誘導を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨髄由来平滑筋前駆細胞の単離および平滑筋細胞分化誘導を行い、大容量の平滑筋細胞を得ることはできた。次年度は再生血管の構築を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
①ヒト腸骨骨髄穿刺により骨髄単核球を分離、②骨髄単核球を培養し、③L-ラクチドとε-カプロラクトンから成る共重合体フィルムをPGA不織布で強化した吸収性の合成人工硬膜であるSEAMDURAに一層性に播種・培養する。④⑤Rollingにより管状化した後、⑥上記I.(A) で分化誘導した大容量の平滑筋細胞を③と同様の方法で播種・培養した層を外装し(⑦)、⑧血液透析患者のブラッドアクセスサイトとしての動脈圧に耐え得る再生血管を構築する。
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Causes of Carryover |
今年度は試薬等の購入に並行して行っている他の研究費を当てたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、血液透析患者のブラッドアクセスサイトとしての動脈圧に耐え得る再生血管の構築に加え、間葉系幹細胞から脂肪細胞への分化を抑制して骨の脆弱化を防止するプログラムが開始する。
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