2018 Fiscal Year Research-status Report
骨髄間葉系幹細胞の多分化能を応用した再生血管の耐圧・耐久化と骨髄脂肪変性の予防
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16K01836
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
加藤 洋一 順天堂大学, 医学部, 教授 (00231259)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨髄脂肪変性 / 骨髄間質細胞 / 幹細胞 / マクロファージ / 細胞内カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
(A)脂肪細胞数増加のメカニズムとして、間葉系幹細胞の増殖促進、間葉系幹細胞の脂肪細胞への分化促進、間葉系幹細胞から分化した脂肪細胞の増殖促進などが考えられる。[Ca2+]oが間葉系幹細胞そのものの増殖に与える影響と脂肪細胞への分化への関与、また分化後の脂肪細胞数に与える影響につき検討した。 (B) 骨髄間質細胞の細胞外Ca濃度を上昇させることによって、その一部はCalcium Sensing Receptorを介して細胞内のCa濃度を上昇させること、その細胞内Ca上昇が脂肪細胞分化を正に調節している可能性が示された。脂肪幹細胞では、脂肪細胞への分化誘導後期に細胞内のCa2+濃度が上昇すると脂肪細胞分化が促進されることより、脂肪細胞の分化にはPPARγ以外に細胞内Ca2+濃度が重要な役割を有する可能性が示されていたが、骨髄間質細胞の脂肪細胞分化におけるCa2+の役割は明らかでなかった。今回の我々の研究の結果、骨髄間質細胞の細胞外Ca2+濃度を上昇させるとその一部はCalcium Sensing Receptorを介して細胞内Ca2+濃度を上昇させること、インスリンとデキサメタゾン存在下とそれらの非存在下では、同じ細胞内Ca上昇であっても骨芽細胞・脂肪細胞への分化・振り分けに対する作用が正反対となることが明らかとなった。メタボリック症候群など耐糖能障害存在下での骨髄脂肪変性のメカニズムが従来知られているものとは異なる可能性があり、CCB、CaSR阻害薬をはじめとした薬剤による骨髄幹細胞内Ca濃度への介入が、メタボリック症候群と加齢に伴う病的骨折を減少させ、再生血管の石灰化を改善する可能性が示唆された。引き続き上記(A),(B)で明らかにしたシグナル伝達経路を阻害することで、骨髄脂肪化が抑制できるかをin vivoにて検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
vivoの実験を次年度に行うこととなったため、最終年度が一年延長となった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在骨髄マクロファージの細胞内Ca濃度と分化の関係を検討することにより、骨髄脂肪変性と再生血管変性における骨髄マクロファージの関与につき研究を推進している。
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Causes of Carryover |
研究計画の一部、特に in vitro の実験を次年度で行う必要が生じたため
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