2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K01843
|
Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
浜田 拓 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (00466294)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 達也 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (00314211)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 上り坂運動 / 歩行 / 乳酸産生量 / 脳 / 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、上り坂歩行運動が脳の乳酸産生量を増加させるか、否かを実験的に検証した。上り坂歩行群にはトレッドミルの傾斜を40% に設定にして、運動を負荷させた。平坦歩行群は傾斜を設定しない条件とした。運動群のトレッドミル運動速度を分速13 mとし、運動時間を30 分とした。運動終了直後に血液、骨格筋、脳を採取し、骨格筋と脳における乳酸とグリコーゲンの濃度を分析した。脳の採取は運動直後に、頭部にマイクロ波を照射(5kW、1.7秒)して、脳内のすべての酵素を失活させた後に行った。上り坂運動群は、速筋線維の比率の高い筋群において、グリコーゲンの減少が顕著であった。血中乳酸濃度は、対照群と比べて、上り坂歩行群で有意に高い値を示したが、対照群と平坦歩行群との間には有意差はなかった。これらの結果から、上り坂運動では、速筋比率の高い筋群でグリコーゲンを消費した結果、血中の乳酸産生量が増加したと考えられる。また、脳内の乳酸濃度は、対照群と比べて、上り坂歩行群で有意に増加したが、対照群と平坦歩行群との間には有意差は認められなかった。頚静脈血への乳酸投与実験から、血中と脳内の乳酸との間には、正の相関関係が認められている。上り坂歩行運動により増加した脳内の乳酸は、血中由来の乳酸が脳内に取り込まれた結果、脳内で増加したと推測される。本研究の結果から、上り坂歩行運動は、同速の平坦運動に比べて、速筋を動員して、血中と脳内の乳酸を増加させることを実証した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画した実験内容を検証することができたので、研究は概ね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、一過性の上り坂歩行運動により脳内のモノカルボン酸産生量やモノカルボン酸輸送担体(MCT)の発現が脳領域特異的に効果を惹起するか否かを同一運動強度での平坦歩行運動と比較して、検証する予定である。
|
Causes of Carryover |
再実験による実験動物数と薬品や抗体を含めた物品を購入したことで使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該研究において、実験動物や薬品などの物品を中心に使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)